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18,穿たれたスパイダーネットIII ページ19

潔「綺麗事だけでレギュラー奪えるならバカでもできんだろ!
 現実見てねぇんだよ、お前は‼︎」

雪宮「自分の正義が誰にでも通用すると思うなよ。
 俺は俺の理想が見えなくなるまで戦って死んでやる」

潔「やってみろよ甘ちゃんが……!」


 『ストップ』


 いつのまにかAが雪宮と潔の横にいた。
 2人はハッとして、気まずそうに口をつぐむ。

 すると、雪宮がAの両肩を掴んだ。


雪宮「Aちゃん、君の意見を聞きたい。
 俺と潔くん、どっちが現段階でストライカーに近い?」


潔「は……お前……Aに何聞いて……」

雷市「ソイツにンなコト聞くのが間違ってんだろ!」

氷織「A、無理して答えんでも……」


 『——————それを聞いて満足か、雪宮剣優』

 俯いていた顔をゆっくり上げたAは、いつもの彼女ではなく“狂戦士”のようだった。


 『君が“理想”を望むならそれに値する言葉を贈ろう。
 もし、“現実”を望むならそれに値する事実を……』

雪宮「それって、どういう……」

 『君が君であるための概念すら破壊できないなら、それを私に問うのは間違っている』

雪宮「……」

 力なくAの両肩に置かれた手が滑り落ちる。
 彼の表情は悔しさに満ちていた。


 『明日の試合、私に勝てたら君をレギュラーにしよう』
 
雪宮「え…………」


我牙丸「それって、絵心が言ってた“下剋上試合(アヴェンジャーマッチ)”……みたいなやつのことか?」

 『そう。私はその試合にレギュラーとして出場する』


全員「「「レギュラー⁉︎‼︎」」」


黒名「そのレギュラーって、どっちのだ?」

 絵心の話によると、再びバスタード・ミュンヘンとFCバルチャが試合をするらしい。

 ただ、全貌はまだ明かされていない。


 『FCバルチャ……つまり、私は君たちの敵になる』

雪宮「だから、なんだよ……」

 Aに“見捨てられた”と錯覚して、雪宮は自暴自棄になっている。


 『もし私に勝てたら、指導者(マスター)ノアに話を通そう。
 そうすれば君は晴れてレギュラーだ、雪宮剣優』

 ロッカールームがざわつき始める。
 でも、その言葉には信憑性があった。


雪宮「煽り?それとも俺を見下して……」

 『違う、宣戦布告だよ』

 大きく目を見開いた雪宮をよそに、Aはロッカールームを退室した。

19,はじめまして、ノアI→←17,穿たれたスパイダーネットII



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ネムノキ(プロフ) - 神乃木琉依さん» コメントありがとうございます!読み返してくださっていると聞いて、とても嬉しいです♪これからもよろしくお願いします! (4月21日 22時) (レス) @page20 id: 2f94861ab5 (このIDを非表示/違反報告)
神乃木琉依(プロフ) - とても面白くて定期的に1から読み返してます!更新、楽しみにしています! (4月17日 0時) (レス) id: 7e584092a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネムノキ | 作成日時:2024年2月3日 14時

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