青い檻のバーサーク６

１４，バスタード・ミュンヘンたる者I ページ15

ノア「勝つ事が全てだ、バスタード・ミュンヘン。
　俺の理想に喰らいつけ」

　１点リードされたバスタード・ミュンヘン。
　Aの憧れたノエル・ノアのプレーが始まる。

“『Ich will kämpfen Mit Noah In der Zukunft』”


　ノアの脳裏にふと蘇る、少女からもらった言葉。
　その言葉を胸に、ノアは戦場を駆ける——————


　『すごい……』

　敵を翻弄する超加速、圧倒的な体幹と技術、
　パワーとスピードで合理的に突き進む機会的行脚(マシーン・ドリブル)……

　ずっと、ずっと、ずっと、このひとに憧れてきた。


潔「(ノエル・ノア以上のプレーなんて、想像(イメージ)できない)」


　そして戦場ではラヴィーニョがノアと対峙する。
　けど、こんなことでノアは屈しない。

　わたしが、誰よりも知っている武器を持っている。


　『(指導者ラヴィーニョに肉弾戦を仕掛けられても、ノアの“天性”は揺らがない……)』

　——————それが、天性の“両利き”である。



〈RESULT〉 B • M ２ー２ FC-B



　『これが、ノエル・ノア……‼︎』

　何度この人のプレーを液晶越しに観た？
　何度この人のプレーを真似て練習した？

　何度、私が理想と掲げ、手を伸ばしてきた——————


　—————————


ノア「出ろ、國神錬介。俺と交代だ。
　生で観た俺の動きは模倣できそうか？

　——————敗者復活(ワイルドカード)のコピー人間」

潔「(コピー人間……？)」


ノア「わかってるな、國神錬介，潔世一。

　お前ら2人にとって次の１点が最後の勝算だ。
　代わりはいくらでもいる……」

　生き残りたくば、“数値”で己を証明せよ。

　—————————


　潔は“コピー人間”と言われた國神を見て、ふと昨夜のことを思い出した。

　昨夜、國神についてAの部屋に聞きに行った。


　『強さを得るための、生き残るための手段……かな。
　きっと私には理解できないほど壁は高かったはず』

　しかし彼女も深くまでは彼の“実験”を知らなかった。


　『初めの頃とは比べ物にならないほど進化してる。

　でも、彼の志の高さ……努力家なところは、何ひとつ変わっていないよ』


　その時のAの表情はどこまでもまっすぐで、狂気(エゴ)の宿った瞳で……

　——————そして、思いやりのある優しい眼差しをしていたような気がする。

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