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隆二side
恨み節を願うのに……
俺に来た声は想像を遥かに超えてた。
『 夢…叶ったね。おめでとう。』
労いの言葉だった。
……ずっと聞きたかった言葉。
目の奥がジンッと熱くなった気がする。
『 やっぱり凄いね。』
社長室を見回すように動いた首は
大きな円を描いて俺へと止まった。
『 おめでとう。』
ふわりと笑ったAは
何を考えているのかわからない…。
昼夜問わず働かせて
財産も全て使わせた男を前に
笑みを浮かべて “ おめでとう ” と言えるものなのだろうか……
『 うん、、ほんと凄いね。おめでとう。』
……なんで、、そんなことが言えるんだ……
『 あと少しだけお世話になりますので、よろしくお願いします。』
なんで……Aが俺に頭を下げる?
下げなきゃいけないのは俺の方だ……。
俺も頭を下げると、え?え?みたいな声が聞こえた。
『 な、なんで、、、頭上げて、、、、』
「 ほんと、、、ごめん、、、。」
『 え、、、、』
「 ……ごめん、、、」
今更謝ったとこで何かが変わるわけでも
亡くなった命も戻ってこない……
でも言わなきゃ気が済まないし
言われなきゃ俺もどうしていいのかわかんねぇ。
『 ……ねぇ、、何で謝るの? 』
「 …………。」
『 やめてってば。』
「 …………。」
頭を頑なに上げない俺の頭をぺちっと叩かれた。
顔を上げた俺の前に喧嘩した時に見たことのあるむくれっツラがあった。
『 社長が簡単に頭を下げていいの? 』
「 ……いや、、これは……、、」
『 簡単に下向かない!それでなくてもパソコンと睨めっこしてるから背中が丸くなって下ばっかり見てるんだから! 』
「 な、、 」
『 わたしには謝らなくていいから!ちゃんと上見て堂々と社長してなさい! 』
「 っ、、、」
『 わたしは別に後悔してない!!! 』
堰を切ったように喋り出したAは、顔を真っ赤にさせて、俺の謝罪の意味をわかったかのように、“ 後悔なんてしてない! ” と俺に告げて、俺の部屋を飛び出していった。
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nonmama(プロフ) - 年末のお忙しいところ更新ありがとうございます。少しずつ距離が近くなる感じ、ドキドキしながら見守っています。来年も素敵な作品楽しませていただけるよう、よろしくお願いします。くれぐれもお身体お大事に、ご自愛ください<(_ _)> (2019年12月23日 1時) (レス) id: 7c869ac398 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - ついにですね!なんだか、こっちドキドキ、キュンキュンしますっ!次の更新も楽しみにしてます(^^) (2019年11月22日 12時) (レス) id: d95e73f21b (このIDを非表示/違反報告)
atok(プロフ) - 言ったーあぁ何て返事するんだろう。これから色々ありそうだけど今度こそ二人一緒に乗り越えて欲しいな。 (2019年11月22日 1時) (レス) id: b336124363 (このIDを非表示/違反報告)
kota(プロフ) - やっと隆二の前で泣けたんだ。これから少しずつでいいから歩みよって欲しいなぁ。 (2019年11月19日 0時) (レス) id: 8448788f30 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - 飛色さん多趣味って素晴らしい!ゾンビ映画もたーくさん見てくださいね♪待ってます(^_^)/~~ (2019年11月5日 23時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛色 | 作成日時:2019年8月16日 16時