Gray Zone３

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貴女side(岩子)








『 送ってく 』


「 大丈夫ですよ。Aさんに怒られるので。』


『 そのAからの指示なんだよねー。』


「 え？そうなんですか？ 」








えへへっと笑みを浮かべた隆二さんの隣を歩いて、家の近くまで送ってもらった。






『 初日だったから大変だったっしょ？ 』


「 でも楽しかったですよ。」


『 えーー？ 』





オーナーにも褒めてもらえたしね。
《 客の顔ちゃんと見れてんじゃん。》って。
上司の顔色を見て来たし、それが役に立つ日が来るなんて思ってなかったなw





『 臣子が来たら、俺ら忙しくなるから、明日もがんばろー 』





そう言ってハイタッチしてくる隆二さん。






隆二さんのAさん、ヤキモチとか妬かないのかな？
こんなに女性にフレンドリーで。
心配しない？私なら心配で寝れないかも…。




うーーーん……
惚れはしないが…今度の女子会で一応報告しておこう…。
変に疑われても嫌だし…。








『 お、そこ岩子ん家？』


「 なんでわかるんですか？ 」






車道を挟んだ先にある私のアパートを指差した隆二さんが、横断歩道を渡る前に足を止めた。






『 岩田、余裕ねーww 』



そう言って笑った隆二さんの視線を見れば、さっきまで店で見た見覚えのあるスーツの後ろ姿の男性。

ガードレールに腰を下ろし、空を見上げる……岩田くんがいた。





『 んじゃ、俺はここで。 』と言ってスウェットのポケットからスマホを取り出した隆二さん。




『 おれー、任務完了！今から帰るよー 』



スマホを耳につけ、私に軽く手を振って、来た道を戻って行った……。


任務って…ww









．





横断歩道の信号が青になり、岩田くんのところにゆっくりと向かって行った…







今日だけなのかな……。
24時前に帰れるのは……。
明日からは、朝５時までみたいだし……。
オーナーさんが戻って来て酒屋さんに《 今日の倍持って来て 》って言ってたし。




うん……明日から頑張ろう……。









そんな決意表明をして、岩田くんにわざと気づかないフリをして、アパートへ一直線に向かった。









『 …………。』


「 …………。」









あれ？？？無反応？？






私が一直線に向かったのに、無反応なの？





脚を止めて、振り向けば…………









にっこり微笑んだ岩田くん。









『 俺をスルーするんだー。 』









…………失敗したかも。


．

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