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広臣side
いつも鍵が掛かってる資料室。
ゆっくりとドアノブに手を掛けると、やっぱり開いた。
資料の並ぶ棚の前で大量のファイルを持ったA
棚の前のテーブルにも大量の資料。
【 片寄商事 】と書かれたファイルと俺の契約先のファイル。
コトッ
テーブルにAの好きなコーヒーを置くと、Aが振り返った。
『 っ、びっくりしたー 』
「 お疲れ 」
『 お疲れー。 』
ファイルを置き椅子に腰をかけ、俺の書類とファイルの書類を交互に見てるA。
伊達眼鏡を外し、眉間を抑えた。
「 大丈夫か? 」
『 うん。 』
俺がAに書類をお願いする理由は、これ。
ちゃんと自分でも取引先・取引履歴を理解してから入力する。だからAの書類には、間違いなんてほぼないし、むしろ営業マンの俺が知らないことまで教えてくれる。
Aに背を向けテーブルに腰をおろし、顔だけAに向けた。
「 小林部長なんだって? 」
『 クビになるなら掛け合ってくれるって。』
「 今回は、そこまでいったか…。」
『 うん。』
俺と話してるのにファイルと書類を交互に見てるだけのA。
あーーー、ダメだ。
最近マジでダメだ。
見慣れた顔のはずなのに、可愛く見える。
相当、重症だな……。
『 独り言…言っていい? 』
不意に顔を上げた七三分けのAが
俺を上目遣いで見た。
「 どうぞ 」
コーヒーを口に入れゆっくりと飲み込んだA
『 今いた奴らの契約、全部破棄になればいい。』
『 いつまでも学生気取りでいるな!厚化粧するな〜!!』
だよな。そうなるわ。
毎回難しい書類をやってんのは、Aだし。
俺が頭を撫でると、俯いたA。
今回は、相当参ってんな…。
しかたね、動いてやるか……。
「 誰の取引? 」
『 残念なイケメンだけど? 』
「 残念なイケメンって誰だよ…。」
『 名前、知るわけないじゃん。 』
「 営業の残念なイケメン? 」
『 数原の契約書、投げられた。』
「 ………投げられた?」
『 うん。 』
数原の契約担当、あいつか。
人の契約を横取りするのは、嫌だけど今回は、しかねーか。
資料室の【 か行 】の棚を見るとごっそりと抜かれた空間。
ファイルの持ち出し欄を見ると先輩の名前じゃなく、
【 営業部 今市 】の文字があった。
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飛色(プロフ) - 登坂 いちごさん» 登坂いちごさん、お初にお目にかかります。阿波踊り一度でいいから見たいです!これからもよろしくお願いします! (2017年8月22日 14時) (レス) id: e8d784eb4b (このIDを非表示/違反報告)
飛色(プロフ) - みあもさん» みあもさん、お初にお目にかかります。私は、素敵な読者様に出会えて嬉しいです!笑 あの方は、何をやっても私には、可愛く見える…病気でしょうか?ww (2017年8月22日 14時) (レス) id: e8d784eb4b (このIDを非表示/違反報告)
飛色(プロフ) - ちいたまさん» ちいたまさん、お久しぶりです!お元気してたかー!?ネタバレーww笑 (2017年8月22日 14時) (レス) id: e8d784eb4b (このIDを非表示/違反報告)
登坂 いちご(プロフ) - 飛色さん、はじめまして!!このお話今日見つけて読み始めました。すごく好きです。そして阿波踊りが出てきて、徳島県に住んでいるので凄く親近感が湧きました笑これからも頑張ってください。 (2017年8月22日 1時) (レス) id: fb6d936af9 (このIDを非表示/違反報告)
みあも(プロフ) - 初めまして!お話のテンポもセリフの言い回しなんかもすごく好きで、素敵な作品に出会えて嬉しいです(^^)隆二くんがポストイットにこだわってるあたり可愛すぎます(´^ω^`) (2017年8月21日 23時) (レス) id: bae3926117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛色 | 作成日時:2017年8月16日 0時