【EXO】お得意さま #2 (ページ42)

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いつも通り仕事にセフニを見送る。

本当に、いつもと何も変わらない朝。

ただ私の心だけが変わっていた。

SE「…行ってきます。」

ぎゅっと抱き締めて、頬に軽くキスをして。

そして少し切なそうに笑うんだ。

セフニが玄関のドアを閉めた時から、力なくだらんとしていた私の腕はもう動くことを諦めたみたいで。

私を動かしているネジを回してくれていたのは、セフニだったんだな。

そんな事を考えていると、自然に涙が溢れていく。

「…ふっ…、うぅ…っ、せふな…っ！」

未来なんて誰にも分からないけれど。

……分からないけれど、未来のない恋愛なんて…。

その時、ガチャンと開いた玄関のドア。

SE「Aっ！？…なんで、泣いてんの…？」

「ぅ…っ、…、せ、ふな…っ！」

一番抱き締めて欲しいのに、一番抱き締めて欲しくなかった。

どうせセフニには私の気持ちなんてわからないんだ…。

そう思ってしまう自分が嫌で、でもセフニに甘えたくて…。

「ごめっ…、っうぅ、ごめんね…っ。」

戸惑いながらも私を優しく包み込んでくれる腕が暖かくて、優しすぎる。

でも今はその優しさが私を苦しめている。

SE「…A。」

やめて、その甘い声で呼ばないで。

これ以上好きになったら、離れられなくなる。

私たちに未来はないって思っているのは、貴方でしょう…？

「…ごめんっ、…！」

緩かったセフニの腕を解いて、予めまとめて置いた自分の荷物を持った。

そしてセフニの顔を見ずにセフニの家を飛び出して一目散に走り出す。

…そう、追いかけなくていいよ。

貴方の選択は正しい。

私は振り返ることもせず自宅に向かった。

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『そろそろ結婚してもいいんじゃない？』

『だよね～！今プロポーズ待ちしてる！』

楽しそうな女子会をしている隣のテーブル席。

私はあの後自宅に戻り、急いで会社に向かった。

そしていつものように振る舞って、自分を偽った。

それからしばらくして、仕事に没頭していたらいつの間にかお昼休憩の時間になっていたみたい。

…今は誰にも会いたくない。

そう思った私は会社から少し離れたカフェでお昼を取る事にした。

『そういうアンタはどうなの？新婚生活！』

『えへへ～、順風満帆です！』

隣の女子たちの会話がやけに気になって仕方がない。

私は目の前のパスタに集中しようとフォークをぐっと握りしめた。

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