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…そわそわ。
フロントに着いたところで、まだセフンさんは着いていないことくらい分かっている。
「ああもうどうしよう、なんでこんなに落ち着かないの…！」
思わず独り言を呟いた…つもりだった。
SE「落ち着かないんですか？」
ホテルの目の前にいつの間にか止まっていた高級車と、音もなく現れたセフンさん。
「セフンさん…！？」
SE「ここらでホテルって言ったらここしかないので。…行きましょう。」
私の行動は全部先読みされてたってこと…！？
それにしても、私が断る事は考えてなかったのかな…断らないけど。
セフンさんはスマートに助手席のドアを開け、私に乗るように促した。
…なんていうか、出来る人って感じ。
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少ししたところで、高級そうなフレンチのレストランについた。
庶民な私にも控えめで品があり、センスがあることがわかる。
SE「僕は帰り運転しなきゃなので、Aさんワインどうぞ。」
「どうも…。」
お酒は凄く弱いから飲みたくないのだけど、進められたら飲まないとなぁ。
ごく、と1口流し込むと喉が熱く震える。
SE「…あの、確認なんですが。まさか、ベッキョンさんと同じ部屋に泊まるんですか？」
真っ黒な瞳を真っ直ぐ向けられると、嘘なんて付けない訳で。
「…はい、そういうことになるみたいです。」
SE「そう、ですか…。」
だって！しょうがないじゃん！私悪くないし！
「あ、もしかしてここら辺でネットカフェとかありますか？あるならそこで泊まりたいんですけど。」
SE「ダメです。女性を1人でそんな危険な場所に泊まらせる訳には行きません。…そもそもネットカフェなんて無いですけど。」
そう言い放つと、セフンさんは俯きながら何か考えていた。
そして、ゆっくり口を開く。
SE「…ひとつ、提案があります。」
声を低くしてセフンさんは見つめてきた。
なんだか緊張感を含んだセフンさんに不安を覚えつつ、次の言葉を待つ。
SE「…僕の家に一部屋空きがあります。」
「…はい。……………はい？」
SE「今日は僕の家に泊まってください。いいですね？」
「え？あ、いや、………え？」
SE「決まりです。キャンセルは出来ませんので。」
嘘だ。
そんな、これは夢だ。
そうだ、夢なんだ…。
私はボトルに残っていたワインをグラスに注ぐと一気に飲み干した。
…こうでもしないとやってられないわ。
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作者名：nel_ | 作成日時：2019年10月18日 22時
