14音目 ページ17
「それは良かったな。おめでたい頭だ」
『さらっと口悪いなお前!!』
Aが憤慨しているのに対し秀一は全く気にしていない。
むしろこちらをじっと見つめてくることにAは僅かにたじろぐ。
『な、なんだよ』
しばらくAを見つめていた秀一は突然口を開く。
「俺の知り合い___同僚だった奴に心理学の専門家で今は精神科の医者がいる」
その言葉の意図が分からずAは訝しげな表情を向ける。
「それは置いておくとして、盲目になる__失明する理由は大きく分けて2つ。
その言葉にAは思考が停止した。
『………誰から聞いた』
「ん?これは知識として俺が有しているものだが__」
『そうじゃない。
俺の目が見えてないと誰から聞いた』
Aが秀一を見る。
「見れば分かる。
そもそも目を使うことをほぼ諦めているだろう」
___訳が分からない、とAは思う。
諦めている?まさか。
ここまで気付かれないように細心の注意を払ってきたのだ。
「話す時に目線が合わない。
状況確認の時もお前はまず立ち止まって
そうやって騒がしい性格をしているのもそちらに気を引かせる為だ」
無意識なのかもしれないがな、と秀一は付け足した。
「……おそらくお前は先天性ではない。
目も見えないのに剣士を目指すやつはそういないだろうからな」
そう言いながら秀一はある柱を思い出す。
彼は目が見えないが柱として人を守っている。
「後天性の中でもお前は………心因性視覚障害の可能性が高い」
『は?なんだそれ』
何かの呪文にしか聞こえない。
秀一は呆れ顔でこちらを見ていた。
『いや、派手にわかんねえよ。
俺にも分かるように言え。詳しく、丁寧に!』
「面倒だ」
『お前それでも医者かよ!?』
「はっきり言うが眼鏡をかければ問題ないだろう」
『なんなんだよ!!』
Aは地団駄を踏み叫ぶ。
「気にしない方がいいですよ?直に慣れます」
そう耳打ちしてくるしのぶの言葉にため息を着く。
『話すなら屋敷の中にしろ。
お前のそのおめでたい頭でも分かるようにしてやる』
「そう言ってますけど、秀一さんは分かってることを前提として話を進めるのである意味説明はとても下手ですよ?」
同じ様に耳打ちしてくるしのぶの言葉に更に気が滅入った。
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作者名:夜月 | 作成日時:2020年5月15日 1時