彼の異能 I ページ22
Aside
目の前では志賀君が怒りに震えている。
私はその事に対して特に驚いたりもしていなかった。
何故ならこの状況を作り出したのは私であり、こうなる事は予想通りであるからだ。
彼を光が覆う。見慣れた異能の光だ。
A「矢ッ張りね」
私はニヤリと笑い志賀君の眉間に指を当て、ゆっくり囁く。人の心理を操るのは得意だ。
A「よく聞いて。_あの倉庫の中にいる人達を全員殺して来て。ボスは殺さずに此方に持ってくる。
_出来るね?」
私はそこまで言うと一歩下がった。彼は静かに頷き倉庫に向かって歩いて行った。
私はそれを見送り部下の方を振り返った。
no side
周防「幹部!よろしいのですか?」
A「良いんだよ。あ、そうだスーさん。」
周防「何でしょう。」
A「任務が完了したら、ボスの部屋行くよね?」
周防「はい。」
A「ボスに言っといて。
_"彼は殺すな"って
それと止血帯車にあるよね?」
周防「用意してあります。」
A「持って来て。」
周防「かしこまりました。」
周防が"何故"という質問をする間も無く指示が来てしまった為、周防は車に走って行った。
A「却説、此処までは順調だね」
_最早部下からしたら何が順調なのか全く理解出来ない状況だったのだが。
少しして周防が戻ってきた。
周防「幹部、お待たせ致しました。」
A「大丈夫だよ?未だ待ってないから」
周防は頭の上にクエスチョンマークを浮かべたが、Aは今も銃声や怒声が聞こえる倉庫を言い表し難い目で眺めていた。
無気力な様な、興味が無さそうな、それでいて楽しそうであり、何処か淋しそうであり_
何処と無く、太宰さんに似ている。
片眼が包帯に覆われている為、しっかりと表情は見えないが_
A「おーい」
周防「!」
何時の間にかAが顔を覗き込んでいる。
A「人の顔をジロジロ見るなー」
周防「も、申し訳ございません。」
ガシャァァァァン!!
突然ガラスの砕け散る音が聞こえ、2人の横に志賀が着地した。それを見たAは小さく笑った。
76人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜 | 作成日時:2018年11月3日 22時