夜の光〔文スト〕 (ページ20)

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緊張ページ20

時刻は21時50分。B班の班長である周防(すおう)は裏口に集まったB班のメンバーを確認していた。時計を見てメンバーに声を掛ける。
周防「もうすぐ幹部が来られる時間だ。皆気を引き締めて＿」
A「皆凄いねー未だ集合時間10分前なのに」
「「！」」
その場に居たメンバーは全員跪き最敬礼の形をとった。
A「ああ、そういうの大丈夫だから。スーさん、居ない人は？」
スーさん、とは周防の愛称である。
周防「全員揃って居ます。＿幹部、その方は？」
周防はAの後ろにいる人物を見て問う。
A「彼は志賀君。今日から皆と一緒に働く。スーさん、後で彼に色々教えてあげて？」
周防「かしこまりました。」
A「皆いるならもう行こっか。スーさん、運転よろしく～
あ、志賀君は私と同じ車ね。」
志賀「はい。」
志賀君は歩き出したが、ロボットみたいにカクカクしてる。面白い。
A「緊張してる？」
私が下から顔を覗き込んだ為、志賀君はひっくり返りそうなほど仰け反って驚いて居た。
あ、訂正。ひっくり返った。
A「大丈夫？志賀君今日は主役だよ？」
志賀「え」
A「いや、志賀君がどれくらいの実力なのか確かめないと。」
志賀「いやいやいや、無理っすよ！俺には！」
A「えー？そうかなあ」
私は言葉を切り、志賀君の耳元で囁く
A「やらないんなら昼の事皆に言おうかなー
私の部下、忠誠心強いから大変かもねえ？」
私は硬直した志賀君の肩をポンと叩いた。
A「大丈夫！君なら余裕余裕！」
志賀君は不満そうな顔をして居たが私は見なかったフリをして車に乗った。
志賀君が隣に乗ったのを確認してスーさんがドアを閉めた。
車が静かに走り始めた。私は車が走っている間に通信機でメンバーにこれから潰す組織の細かい説明を済ませた。
少しして車は目的地に着いた。

部下は気を引き締め、上司は妖しく微笑む。

慣れない鋭い空気に身を固めながら志賀はAを見ていた。
A「却説(さて)＿仕事の時間だね。」
彼女の目が無邪気に輝いたのは、彼にしか見えなかった。

状況を確認し、Aは親指を顎に置き、考え事を始めた。

何を考えているかは全く読めない。

彼女がそうなれば部下はそれをじっと待つしか無い。