救出作戦と覚悟その5 ページ36
スローモーションに見えた。
ナイフを振りかぶってからその腹に突き刺さるまで、とてもゆっくりと世界が動いていた。
でもそれはほんの一瞬で。
『あああああああああああ!!!』
目の前で、ガクンと真実が膝をついた。
ナイフを持つ手には血が溢れてべっとりと付いていた。服も真っ赤に染まった。
シルク「茜!?どうし...って、なんだよこれ!!」
ンダホ「今の叫び声何!?...え!?ちょ、ちょっと!?」
私の叫び声を聞きつけて、待機していたメンバーが次々と室内に入ってくる。
動けない。
ダホとマサイがモトキを救出し、他のメンバーが真実を声掛けしたり止血しようとしているのが目に入る。
なのに。
動けない。
部屋中に充満する鉄が錆びたような臭い。
119番に電話をかけるシルクの声。
私の身体を支えて必死に呼びかけてくるダーマの声。
この場において、私だけが何もせずに突っ立っていた。
耳鳴りが収まらない。
吐き気が止まらない。
焦点が定まらない。
私は一歩、踏み出して____
そこから先の記憶はない。
シルクSide
『あああああああああああ!!!』
茜の叫び声が聞こえた。
それまで聞こえていた怒鳴り声とは比べ物にならないほどの大きさ。もはや悲鳴に近かった。
一斉にメンバーの間に緊張が走った。
誰かが何か言っていたが、それを聞くより先に勝手に身体が動いていた。
シルク「茜!?どうし...って、なんだよこれ!!」
視界に飛び込んできたのは、俺たちに背を向けて立つ茜と、
腹にナイフが突き刺さった茜の姿。
一瞬頭が真っ白になったが、すぐにナイフが突き刺さっている方が妹かと気が付く。
駆け寄ると、ひゅー...ひゅー...とか細い息づかいが聞こえた。
シルク「おい!お前、茜の妹だよな!?」
「そ、そうだ、よ...君、は...シル、クくん...だ、よね...」
シルク「喋んな!!」
深い。刃が完全に腹に埋まっている。柄しか見えてない。
...こりゃ、やべぇぞ。
俺のすぐ後から、ぺけとザカオが駆けつけてくるのが分かった。
視線を巡らせると、マサイとダホはモトキを助けに、ダーマは茜を支えていた。
シルク「ぺけ!布とかで傷口抑えて止血頼む!ザカオはナイフ抜かないようにして呼吸整えてやってくれ!」
素早く指示を出すと、焦る気持ちで119番に電話をかけた。
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チョコザイ(プロフ) - おもしろい (2018年7月28日 16時) (レス) id: 613124173f (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - よつ葉@YouTube命。さん» おう!考えて考えて((┌|o^▽^o|┘))♪ (2018年5月8日 1時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
よつ葉@YouTube命。(プロフ) - Alice:Aさん» 了解!考えるねヽ(・∀・) (2018年5月7日 15時) (レス) id: 99a9981eb6 (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - よつ葉@YouTube命。さん» 楽しみにしてて!願わくばリクエストををを!!(図太い) (2018年5月6日 22時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - りんごおさん» 見てくれるだけで充分だよー!4章楽しみにしてて! (2018年5月6日 22時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Alice:A | 作成日時:2018年2月7日 22時