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自分でもよく分からない細い道を、ただひたすら黒い塊を追って走る。
塀に登ってみたり、頭をぶつけそうな天井が低い所を屈んで移動したり...
普通の人間が通るような場所ではない所を、四つん這いで小柄な生物と同じ速さで動かなければならない。
これが相当きつくて、三分もたたないうちに息が上がり始めていた。
でも、このままついて行けばカカシに会える様な気がした。
クソ...あいつ...もう少しくらいゆっくりでもいいじゃねぇか...
ーーーーーーーーーーーーーーー
どのくらいたったのだろうか...
気がつくと、御子柴家が代々参拝に来る神社へ来ていた。
この神社は山の中にあるため、獣道を走った私の足は所々切れていた。
『はぁっ.....はぁ...やっと...着いた....』
あれ....普段は神社の奥の扉は閉まってたのに...
鍵もないし、開いてる。
しかも黒い生き物の姿はどこにもない。
またいなくなってしまったのだろうか...
無駄足...だったか。
ガタッ
.....!?
何この音、あの開いた扉の奥から...
あの黒い生き物がいるかもしれない...
昔から父さんにも母さんにも
“ あの扉の中へ入ってはいけない。あの部屋は私達の御先祖様である犬神様が眠ってらっしゃる。 ”
と、言われていた。
だけど今は、どうしてもあの部屋へ行かなければならない気がした。
まだ少し乱れている呼吸を落ち着かせ、ゆっくりと歩を進める。
真っ暗な何も見えない部屋へ一歩を踏み出すと同時に、雲から出てきた茜色の夕焼けが、木々の間から部屋の中を照らした。
そこに黒色は見えず、あるのは待ち望んだ銀色。
見た瞬間、私は息をすることを忘れ、その場に止まった。
髪で隠れて顔は見えないが、その銀色の髪、白い肌、見覚えのある服......目の前に横たわっているのは、間違いなく彼である。
『か..かし.....』
瞳孔を開いたままヨロヨロと近づいた。
彼の横に屈んで震える左手で髪を退けると、彼は薄らと目を開けた。
「ん......A...ここは?」
あぁ、駄目だ。ただ名前を呼ばれただけなのに。
『カカシっ.....よかった.....また...会えた....』ポロポロ
私も...弱くなったなぁ....
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あゆな(プロフ) - この作品好きです!!頑張ってください! あと、アンケートは、1がいいです!! (2018年3月29日 14時) (レス) id: df7e7f04a9 (このIDを非表示/違反報告)
RIG(プロフ) - 作品とても良かったです、夢主ちゃんのSっ気が言いd('e')b、アンケートは、1がいいです。 (2018年3月29日 2時) (レス) id: 0808126aee (このIDを非表示/違反報告)
snow - アンケートは1でお願いします! (2018年3月25日 21時) (レス) id: 575c0714d7 (このIDを非表示/違反報告)
神鬼寺 白姫(プロフ) - 作品、とても面白かったです。アンケートは1がいいです!これからも頑張ってください! (2018年3月21日 23時) (レス) id: 53f9303951 (このIDを非表示/違反報告)
桜野 - 作品読ませて頂きました。とても面白かったです!私は1が良いです! (2018年3月21日 21時) (レス) id: d92671e113 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かんみ x他1人 | 作成日時:2018年2月17日 0時