【男主】笑顔の仮面を貼り付けるピエロ【五奇人】

28つ目の仮面 ページ31

『ほんっっっとうに申し訳ありませんでした！！！



大丈夫だったか？

暑くなかったか？水分補給しっかりしてたか？


いや、もう、本当に申し訳ない…何すれば許してもらえるだろうか…！』





「ど、土下座をやめて欲しいでござる〜！？


せ、拙者は大丈夫でござるよ〜！？」




「………シュールだ…A先輩の土下座…鬱だ…」





忍に対して土下座をする俺。


それに対して涙目になりながら慌てる忍。


さらにそれを見て、ブツブツ言う翠。





…実は、忍に頼んでいたものを、使わずして終わってしまった。


いや、まぁ俺は忍に頼む時もあんまり乗り気じゃなかったんだ！！！




『せっかく、ビデオカメラ構えて撮ってくれてたのに、本当に、悪い。』




忍には、カメラを渡して、気付かれないように、姫が操作するところを撮っておいてほしい、とお願いしたんだ。



…これは、夏目が考えた作戦なんだが。




最悪、逆ギレして暴れ出したりするかもしれないから、証拠を取っておきたい、という意見である。



俺の妹はそんなことしないと信じていたが、夏目馬鹿にどうも信用できなかったらしい。


悲しいが、そう思うのも仕方ないと思った。

日々、忍術を極めている忍なら気配を消して静かにしていることもできるのではないか、という俺の考えで忍に頼んだ。



「ほ、本当に大丈夫でござる…！

これを使わなくてもいい、ということは事態が悪化せずに、良い方向に進んだ、ということでござるよ！」


忍の言葉に、翠と鉄虎までコクコクと頷く。


『…本当に、ごめんな。

ありがとう。』



「………良い感じに終わらせようとしてるところ悪いんだけド。


それを使うのはこれからだヨ。


もう二度と撮れないかもしれない貴重な映像を、わざわざ捨てる必要なんてなイ。


そもそモ、それは彼女が逆ギレする可能性のために撮ったんじゃないヨ。」



夏目の言葉に、みんなが固まる。

五奇人のみんなは、当然だ、とでも言うような顔だ。



「…嬢ちゃんや、お主は生徒だけでなく、家族にも猫をかぶっておるじゃろう？



このライブにAくんの両親は来なかった。



つまり、このライブを壊そうとした嬢ちゃんの本来の裏の顔を見ておらんのじゃよ。


ここで、このビデオを使うのじゃ。



…この意味、わかるじゃろ？」





零先輩の紅い目が、鋭く輝いた。

29つ目の画面→←メタすぎる番外の仮面2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す