23つ目の…? ページ24
アイドルをしているお兄ちゃんを、初めて見た。
こんな顔をして、こんな風に歌って、こんな風に踊っていたんだ。
わかっていた。
お兄ちゃんは愛される資格があって、私にはそれがないこと。
でも、そんなの、私が愛されなくていい理由にはならないよね。
結局のところ、お兄ちゃんも自分自身が大切で、私も私自身が一番大切。
仕方ないよね?だって、私は私が一番大切なんだから。
照明を消すボタンを押す。
音楽を消すボタンを押す。
操作できる部屋は、ここだけじゃないからすぐ復旧に入っているだろう。
でも、お兄ちゃんからもらったライブの紙に書いてあるように、今歌っている曲が最後の曲。
今更復旧に入ったって意味ないね。
このライブはめちゃくちゃ。
「…ふふっ、夢ノ咲の生徒に幻滅されて、お母さんもお父さんも、お兄ちゃんの失敗を聞いたら、怒るだろうなぁ…♪」
「本当に、幻滅するな。
Aのライブを成功させるために、みんなが頑張ってきたんだぞ…
このライブはAのライブだが、色々な人が関わっていて、色々な人が協力して、作り上げたライブだ。
Aだけのライブじゃ、ないんだ。
…悪はヒーローが倒すぞ☆」
「…ち、ちが、違うんですよ!?こ、これは…」
深海先輩と、仙石くんを除いた流星隊の3人が後ろに立っていた。
「……本当に、残念っす。
…仲良くしたい、って思ってたんすよ…。
A先輩、言ってたんすよ。
『あいつは体が弱いから、色々迷惑かけると思うし、クラスメイトだから特に頼られること多いと思うけど、
仲良くしてほしいんだ。』
って。
わざわざ1年の教室に来てまで、アンタのことをよろしく頼む、って言ってたんすよ。」
「…先輩は、優しいから…だから、こんなにも好かれてるんだ。
姑息な手を使おうとしない。
…今流れている音楽も、ここにいる俺たちも、あの人との信頼関係…なんだよ。」
照明はついていないホールで、お兄ちゃんの服が光っていて、サイリウムとお兄ちゃんの服の光しか見えないホールで、ピエロらしい音楽が流れていた。
「…音楽が、なんで。」
「遊木だろうな☆
音楽は、ここで操作できないように設定したって言っていたからな。
きっとあんずが操作している。
…お前が、何かするとわかっていたから、だろう☆」
…私は、お兄ちゃんから目が離せなかった。
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そぬん - 涙が止まらなかったです…。五奇人が笑顔でライブをするというのを空想上ではありますが見れて、良かったです。最高のエンドでした!! (2020年7月17日 0時) (レス) id: 5ad600b11d (このIDを非表示/違反報告)
sakurasaku(プロフ) - あ、あれ……。おかしいな……。最後辺り読んでから目から塩水が止まんねぇ……。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: e53f230869 (このIDを非表示/違反報告)
仍(プロフ) - 今更ながらコメントして申し訳ありません。感動しました。奇人…夏目…いいですね…でも1番の推しはこの小説の主人公くんですね…素敵な小説をありがとうございます。 (2019年11月25日 21時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
あいあい - まだ7つ目ですがスバルくんの発言に思わず吹き出してしまいました。今から続き読みます! (2019年1月10日 0時) (レス) id: 69cadf1e76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうくんのストーカーのストーカー - ニックネームあれですけど私も夏目最推しです!(漢字あってますかね?)最近夏目多くないですか?私無課金なので、凄くキツイです...最後まで読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年3月27日 10時) (レス) id: c392d9b03c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Satori | 作成日時:2017年8月2日 17時