2つ目の仮面 ページ3
「A、おはよ。」
『ん、おはよ、衣更…と、凛月。
…お前なぁ、いい加減自分の足で歩けって。
衣更が毎日大変だろ〜?』
「おはよ〜…いいのいいの♪
ま〜くんはお世話しないと死んじゃう病気だから♪」
「なんだよその病気は…」
妹からの衝撃的な告白を受けた翌日。
少しブルーな気持ちで俺は登校していた。
明日には姫が夢ノ咲学院の生徒になる。
後ろから苦労人の衣更が凛月をおんぶしながら登校していて、挨拶を交わすのもいつものこと。
……明日から、それも変わるのだろうか。
「…そういや、明日プロデュース科にAの妹が転入生が来るんだってねぇ…A、大丈夫なの…?」
凛月は、衣更におんぶされたまま、俺を心配してくれる。
凛月と出会ったのは去年。
去年、廊下に転がってる黒髪の男の子を見つけて、慌てて声をかけると、返ってきたのは
「安眠妨害なんだけど…兄者のことなら知らないよ…放っておいてよ…」
と、心底迷惑そうで、悲しそうな声だった。
『…兄者……?
…ん?あっ、もしかして朔間先輩の弟…?
…って、そんなのはどうでもいいか。
なぁ、朔間くん!こんな所で寝たら風邪引くぞ…!!
アイドル科にいるんだから、体調管理はしっかりしろよ〜?』
「うるさいなぁ」なんて言いながらもその場から動く気配がなくて、仕方なくおんぶして保健室まで運んだ。
やたらと「兄者」が会話に出てくるから、
『俺、朔間先輩に近付きたいわけじゃないよ。
…それにもう、遠くもなければ近くもないような位置にいるし。
朔間くん、俺は君を見るからさ。
………大変だよな、兄弟と比べられて、周りから……ごめん、なんでもない。気にしないでくれ。』
なんて思わず口走ってしまって、急いで誤魔化そうとしたけど、その隙を見逃してくれるような人でもなく
「アンタも大変な思いしてるの?
…ふふっ、じゃあ同じだ。」
なんて、笑ってくれたんだ。
「いいよ、俺もアンタのこと見る。
俺は、朔間凛月。
凛月って呼んで。朔間の方では呼ばないで。」
『…間宮…A。
よろしくな、凛月。』
それから少し姫と俺の差を話したりして、凛月は俺を気にしてくれていた。
『大丈夫だよ、あいつ、プロデュースなんてやったことないからわかんないこと多いと思うんだ。
あいつが困ってたら色々と教えてあげてな。』
俺はそう言って笑った。
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そぬん - 涙が止まらなかったです…。五奇人が笑顔でライブをするというのを空想上ではありますが見れて、良かったです。最高のエンドでした!! (2020年7月17日 0時) (レス) id: 5ad600b11d (このIDを非表示/違反報告)
sakurasaku(プロフ) - あ、あれ……。おかしいな……。最後辺り読んでから目から塩水が止まんねぇ……。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: e53f230869 (このIDを非表示/違反報告)
仍(プロフ) - 今更ながらコメントして申し訳ありません。感動しました。奇人…夏目…いいですね…でも1番の推しはこの小説の主人公くんですね…素敵な小説をありがとうございます。 (2019年11月25日 21時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
あいあい - まだ7つ目ですがスバルくんの発言に思わず吹き出してしまいました。今から続き読みます! (2019年1月10日 0時) (レス) id: 69cadf1e76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうくんのストーカーのストーカー - ニックネームあれですけど私も夏目最推しです!(漢字あってますかね?)最近夏目多くないですか?私無課金なので、凄くキツイです...最後まで読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年3月27日 10時) (レス) id: c392d9b03c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Satori | 作成日時:2017年8月2日 17時