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13つ目の仮面 ページ14

可愛らしいポーチは膨らんでいて、中に薬が入っているのは一目瞭然だった。


『そ、それがなかったら姫が困ります…!』



「まァ、落ち着いてヨ。


恐らく、彼女の体は健康ダ。

…恐らく、というか、もうほぼ確定だネ。


彼女自身、喘息待ちだとみんなに見せつけているみたいだけド…この薬は、喘息の薬じゃなイ。」



渉先輩の手からポーチを取って夏目は中に入っていた薬を取り出した。



「このポーチも、持ち歩いているだけで、実際に中身を開けてはいないみたいでしたよ…☆



それと、脚が悪いんでしたっけ?彼女。


残念ながら、脚を気にしているような様子はありませんでした…☆



私の目は騙せませんよぉ…?」



鈍器で頭をガツーンと殴られたような気分だ。



待ってくれ、そんなことってあるのか?




だって、それって、家族みんなを騙していた、ってことだろ?




いつからだ?



五奇人が俺を騙しているとは思えない。




でも、



それでも、





俺はそれを認めたくなかった。




だって、それを認めてしまえば、その瞬間から


今までの俺の我慢は、必要なかったことになってしまう。
今までの俺の笑顔は、意味のないことになってしまう。


体が弱いから仕方ないって言い聞かせて頑張ってきたものが、全部全部、意味なかった…?





「…『ふあん』ですか?『がまん』を『ひてい』されるとおもってますか?』


奏汰先輩が優しい目で見つめて、優しい声で聞いてきた。



「大丈夫じゃよ。Aくんの頑張りは、我輩達が認めよう。」



…やっと、先程、姫について質問された意味がわかった気がした。




『…待ってください、どうして、姫は、そんなことを…?』



姫には、そんなことをする必要がないはず。





心のどこかでもうわかっていることを、言葉にして聞くのは、最後の足掻きだ。



それがわかっているから、きっと、答えてくれたんだろう。




「簡単なことなのだよ。




愛されたかった、それだけだろう。」




『…………姫が、踏み外した道を、正してあげることは、できますか。』




俺の言葉に最初に笑ったのは夏目だった。



「本当に馬鹿だよネ。


憎むよりも、恨むよりも先に、その言葉が出てくるなんテ。」



「ただただ優しいだけなのだよ。


だからこそ、騙されやすいんだろう。」









「ふふふ…♪



それじゃあ、『さくせん』をたてましょう…♪」



俺の居場所は、ここに、ちゃんとあったらしい。

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そぬん - 涙が止まらなかったです…。五奇人が笑顔でライブをするというのを空想上ではありますが見れて、良かったです。最高のエンドでした!! (2020年7月17日 0時) (レス) id: 5ad600b11d (このIDを非表示/違反報告)
sakurasaku(プロフ) - あ、あれ……。おかしいな……。最後辺り読んでから目から塩水が止まんねぇ……。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: e53f230869 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 今更ながらコメントして申し訳ありません。感動しました。奇人…夏目…いいですね…でも1番の推しはこの小説の主人公くんですね…素敵な小説をありがとうございます。 (2019年11月25日 21時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
あいあい - まだ7つ目ですがスバルくんの発言に思わず吹き出してしまいました。今から続き読みます! (2019年1月10日 0時) (レス) id: 69cadf1e76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうくんのストーカーのストーカー - ニックネームあれですけど私も夏目最推しです!(漢字あってますかね?)最近夏目多くないですか?私無課金なので、凄くキツイです...最後まで読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年3月27日 10時) (レス) id: c392d9b03c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Satori | 作成日時:2017年8月2日 17時

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