配合恋愛。 (ページ13)

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仕事場ページ13

「今、仕事場に向かってる。……送信。」

仕事場に向かう車内で
俺はスマートフォンと見つめ合う。
とりあえずの状況報告ってところだ。

「うわぁ、返信すごい速い。」

次々と画面の中に産み出される
灰色の吹き出し。
メンバーのスマホ依存を心配したくなるほど
とてつもないスピードだ。

そのほとんどが俺を心配する内容で
本当は心配なんてかけたくないが、
どこか安心する自分がいる。

「なんか相手の子……セクガルだってさ。」

そこまで入力したものの、
どうしても送信をタップできない。

既読スルーか？
おーい！
勝利ーーーーー。

画面に連なる呼び掛けにも
反応しないまま車に揺られる。

Aさん、
ざっくり言えば素直な子という印象。
決して活発ではないが
自分を持っていない訳ではないというか……。

まあ、「水ぶつけられた」っていうのは気になるけど
触れない方が良いパターンもある。

話してもすぐに下を向いていたから
ちゃんとした顔立ちは分からなかった。

俺はまだ彼女の何も分からない。
分からないはずなのに、
大丈夫だろ、って思えるのは何故？

なめらかに窓の外を流れる景色が
太陽に照らされる。