ヅラ子じゃない！妹だ！！《参》〜過去編〜【銀魂】

妹です。参の１ ページ2

私は何の問題もなく、
この世に産み落とされた。
物心が付いた時にはお兄ちゃんの顔があって、唯一の家族がお兄ちゃんだった。

｢Aを置いていくのはやっぱり心配だ｣

そう言われたその日、お兄ちゃんが新しく通うと言う、松下村塾と言う寺子屋へ連れて行かれた。

そこには沢山お兄ちゃんと同い年の人達がいた。
私はお兄ちゃんの羽織の裾をギュッと握った。

｢あ、ヅラ｣

そう言ってこちらを見たのは、よくお兄ちゃんと話していた人だった。

｢高杉か。先生は？｣

たかすぎ、この人は高杉と言うらしい。
私は人見知りだ、人に見られるのも話すのも苦手。
思わずお兄ちゃんの後ろに隠れた。

｢先生なら今…｣

｢あぁ、小太郎。その子が妹ですか？｣

ニッコリと笑顔を浮かべているがその人の手に銀髪の人が引きづられていた。

｢あっ…また何かしたのかお前は…｣

お兄ちゃんがため息混じりに呟く。
私は人が集まっていくのをお兄ちゃんの後ろでじっと見つめていた。

｢ちょっと…やらかしていたのでっ｣

ニコッと笑う。
お兄ちゃんは何かを察したように｢あぁ…｣と言っている。

｢じゃあ君がAさんですね。話は聞いています｣

背丈に合わせ屈んでくる。
私はビクリと肩を揺らしお兄ちゃんの後ろで完璧に身を潜める。

｢ん？大丈夫ですよ、何もしません｣

ギュッと羽織を掴む。私は何も言葉を発さない。
黙ってばかりでいた。

｢はぁ…A、先生は何もしないぞ｣

それでもしがみつきお兄ちゃんを盾にする。
この人が信用出来るかは自分で決める事だ。

｢先生、A人見知りなんです｣

｢見ればわかりますよ｣

微笑むその人をこの目でじっと捉えていた。

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