三十一日目 ページ32
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俺は改めて考えてみた。
何故こんなにも主と距離があるのか。
それは俺自身が線を引いているからだと気づいた。
主や鶴丸が悪いんじゃない。
全ては俺のせいなのだ。罪悪感やら下らない嫉妬によって、主と話をしなかったのは俺なのだ。
その答えに至った時、急に主が恋しくなった。
主と話したい。
主の笑顔が見たい。
主に抱きつきたい。
主のくっきーが食べたい。
主の傍にいたい。
いくつもの願望が溢れ出ては止まらない。主が帰って来たら、今度こそ謝って、近侍に戻してもらう。何を言われても引き下がらない覚悟だ。
だから、玄関先で主が帰ってくるのをずっと待つことにした。
しかし─────
夕刻を過ぎても主は帰ってこなかった。
「兄弟、ご飯冷めちゃうよ」
「……後で食べる」
日は完全に沈み、暗がりが辺りを包む。曇り戸に映る景色は真っ暗だ。広間の方からは賑やかな声が聞こえてくる。大方、酒盛りでもしているのだろう。次郎太刀と陸奥守はいい飲み仲間のようだからな。
兄弟が玄関先にいる俺を心配して声を掛けてきたが、不思議と腹は減っていなかった。
そうしてそのまま時間だけがいたずらに過ぎ、今ではもう酒盛りの声も聞こえない。
皆、寝たのだろう。
本丸の中は異常な程静かでひっそりとしている。
巨大な闇が虚空を孕んでいるようだ。
何かあったのだろうか。
ここまで帰りが遅いと心配になってくる。
「主……」
俺はきっと、主なしでは生きていけない。
主従関係だからとか、審神者と刀だからとかではなく。
俺の意思で主が好きだからだ。
『まんばちゃん!』
そう言って、俺の名を呼ぶ主はいつも主だった。出陣で傷ついても、俺が我儘を言っても、俺が拗ねていても、優しく包んでくれたその温もりが……
「大好きなんだ……」
膝を抱え顔を伏せたその時、
玄関の向こうから足音が聞こえてくる。
顔を上げた先。
目の前には黒い洋服に身を包んだ主の姿がある。
「主!」
堪らず俺は抱きついた。
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華骸(プロフ) - 小豆☆抹茶さん» コメントありがとうございます! 分かってくれますか、まんばちゃんの可愛さを! 同士ですね(о´∀`о) これからもたくさんまんばちゃんを愛でていきましょう!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
小豆☆抹茶 - まんばちゃんの愛らしさ…凄く分かります!私も、初期刀まんばちゃんです!まんばちゃんです!!!!!! (2017年3月21日 18時) (レス) id: 62f8b9fffc (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 亜乃歌さん» コメントありがとうございます! やはりまんばちゃんですよね! みな、違った可愛さが有りますが、まんばちゃんは放っておけないタイプだと私は思います(笑) 読んでくださりありがとうございました!(ノ´∀`*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 沖田凛和さん» コメントありがとうございます! これは私の妄想の小説になりますが、実際にこんな感じだと可愛いですよね! と言うか、まんばちゃんの全部が可愛いですよね(*≧∀≦*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
亜乃歌(プロフ) - めっちゃ面白かったです!ちなみに私も初期刀まんばです(´▽`*) (2017年1月25日 21時) (レス) id: a5d27731cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華骸 | 作成日時:2016年9月24日 21時