三日目 ページ4
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「おい」
「ん……」
呼ばれて目を覚ませば、まんばちゃんが私を見ていた。視線が合う、そのことだけで嬉しくて、私はがばりと起き上がった。
「良かった! 目を覚ましたんだね!」
「……別に、そのまま朽ち果ててしまっても良かったんだがな」
しかし喜んだのも束の間。
私はその喜びが一瞬にして冷えていくのを実感した。それが怒りなのか、失望なのか、悲しみなのか判断できぬまま、口を開く。
「治さなくていいって、どういうこと? まんばちゃんはあのまま折れてもよかったっていうの?」
自分から出た声は、想像以上に低く、何故だか涙も出てきた。
私はただ、嫌だったのに。審神者になって、右も左も分からなかったけれど乗り越えられたのは、まんばちゃんがいたからだと言うのに。
それでもまんばちゃんは、傷だらけでよかったと言う。
それって私との思い出も消えていいってことでしょ? まんばちゃんにとって私は、その程度の人間だったのだろうか。
だとしたら自惚れていた自分がバカらしく思えてくる。
「私はまんばちゃんが傷つくのは嫌だし、居なくなるのはもっと嫌だ」
「写しを傍に置いて、あんたに何の得がある。
俺を近侍にすることはあんたもけなされるってことなんだぞ。
本物の山姥切ならともかく、俺を大事にするのはやめろ」
「写しとか本物とかどうだっていい。
私が誰を大切にしようが勝手でしょ。
私はまんばちゃんがいいと思ったから、ずっと近侍を変えてこなかったのに。そんなこともわからないの?」
「…………」
「私はまんばちゃんを写しと思ったことなんて一度もないよ。まんばちゃん、言ってたじゃん。
自分が国広の第一の傑作だって。
だったら堂々と胸を張ればいい。私は今、目の前にいるまんばちゃんが好きなんだから」
まんばちゃんは、目を見開いた。そして、そっぽを向いてしまった。
自分の意思を伝えた結果が嫌われるとは、何とも悲しい結末。私は涙を拭いて、手入部屋を出ようと席をたった。
_______刹那、
「え?」
着物の袖を引っ張られ足を止める。振り向くと彼は顔を赤くしながら私をみた。
「本当に俺でいいのか?」
それは彼にとって一世一代の言葉だったのだろう。私は笑顔を向け、彼に言った。
「まんばちゃんがいいの!」
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華骸(プロフ) - 小豆☆抹茶さん» コメントありがとうございます! 分かってくれますか、まんばちゃんの可愛さを! 同士ですね(о´∀`о) これからもたくさんまんばちゃんを愛でていきましょう!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
小豆☆抹茶 - まんばちゃんの愛らしさ…凄く分かります!私も、初期刀まんばちゃんです!まんばちゃんです!!!!!! (2017年3月21日 18時) (レス) id: 62f8b9fffc (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 亜乃歌さん» コメントありがとうございます! やはりまんばちゃんですよね! みな、違った可愛さが有りますが、まんばちゃんは放っておけないタイプだと私は思います(笑) 読んでくださりありがとうございました!(ノ´∀`*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 沖田凛和さん» コメントありがとうございます! これは私の妄想の小説になりますが、実際にこんな感じだと可愛いですよね! と言うか、まんばちゃんの全部が可愛いですよね(*≧∀≦*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
亜乃歌(プロフ) - めっちゃ面白かったです!ちなみに私も初期刀まんばです(´▽`*) (2017年1月25日 21時) (レス) id: a5d27731cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華骸 | 作成日時:2016年9月24日 21時