検索窓
今日:41 hit、昨日:14 hit、合計:401,636 hit

三日目 ページ4

.


「おい」

「ん……」



呼ばれて目を覚ませば、まんばちゃんが私を見ていた。視線が合う、そのことだけで嬉しくて、私はがばりと起き上がった。




「良かった! 目を覚ましたんだね!」


「……別に、そのまま朽ち果ててしまっても良かったんだがな」



しかし喜んだのも束の間。


私はその喜びが一瞬にして冷えていくのを実感した。それが怒りなのか、失望なのか、悲しみなのか判断できぬまま、口を開く。




「治さなくていいって、どういうこと? まんばちゃんはあのまま折れてもよかったっていうの?」



自分から出た声は、想像以上に低く、何故だか涙も出てきた。



私はただ、嫌だったのに。審神者になって、右も左も分からなかったけれど乗り越えられたのは、まんばちゃんがいたからだと言うのに。


それでもまんばちゃんは、傷だらけでよかったと言う。


それって私との思い出も消えていいってことでしょ? まんばちゃんにとって私は、その程度の人間だったのだろうか。



だとしたら自惚れていた自分がバカらしく思えてくる。




「私はまんばちゃんが傷つくのは嫌だし、居なくなるのはもっと嫌だ」



「写しを傍に置いて、あんたに何の得がある。

俺を近侍にすることはあんたもけなされるってことなんだぞ。

本物の山姥切ならともかく、俺を大事にするのはやめろ」



「写しとか本物とかどうだっていい。

私が誰を大切にしようが勝手でしょ。

私はまんばちゃんがいいと思ったから、ずっと近侍を変えてこなかったのに。そんなこともわからないの?」


「…………」



「私はまんばちゃんを写しと思ったことなんて一度もないよ。まんばちゃん、言ってたじゃん。

自分が国広の第一の傑作だって。

だったら堂々と胸を張ればいい。私は今、目の前にいるまんばちゃんが好きなんだから」




まんばちゃんは、目を見開いた。そして、そっぽを向いてしまった。


自分の意思を伝えた結果が嫌われるとは、何とも悲しい結末。私は涙を拭いて、手入部屋を出ようと席をたった。





_______刹那、




「え?」



着物の袖を引っ張られ足を止める。振り向くと彼は顔を赤くしながら私をみた。




「本当に俺でいいのか?」



それは彼にとって一世一代の言葉だったのだろう。私は笑顔を向け、彼に言った。



「まんばちゃんがいいの!」

四日目→←二日目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (467 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
737人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

華骸(プロフ) - 小豆☆抹茶さん» コメントありがとうございます! 分かってくれますか、まんばちゃんの可愛さを! 同士ですね(о´∀`о) これからもたくさんまんばちゃんを愛でていきましょう!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
小豆☆抹茶 - まんばちゃんの愛らしさ…凄く分かります!私も、初期刀まんばちゃんです!まんばちゃんです!!!!!! (2017年3月21日 18時) (レス) id: 62f8b9fffc (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 亜乃歌さん» コメントありがとうございます! やはりまんばちゃんですよね! みな、違った可愛さが有りますが、まんばちゃんは放っておけないタイプだと私は思います(笑) 読んでくださりありがとうございました!(ノ´∀`*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 沖田凛和さん» コメントありがとうございます! これは私の妄想の小説になりますが、実際にこんな感じだと可愛いですよね! と言うか、まんばちゃんの全部が可愛いですよね(*≧∀≦*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
亜乃歌(プロフ) - めっちゃ面白かったです!ちなみに私も初期刀まんばです(´▽`*) (2017年1月25日 21時) (レス) id: a5d27731cf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:華骸 | 作成日時:2016年9月24日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。