二十四日目 ページ25
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本丸に帰り、戦績報告をしようと主の部屋へと向かう。
誉をとっても桜は舞わなかった。
それは気分が下がっているからか、または所々傷を作ってしまったからか。……前者だということは漠然と分かっていた。
(主に手入して貰わなければ……。そして素直に謝ろう)
そんな風に思った。
出陣前は気まずさから「近侍を外してくれ」と言ってしまったが、よくよく思えば二日も探しても見つからないのだ。もう出てこないかもしれない。そうなれば俺はいつまでも探し続け、主と話すことも出来ない。そんなのは俺の精神がもたないだろう。
俺にとって主は唯一の癒しだ。
だから謝ろうと決心した。
だが……
「兄弟?」
兄弟が主の部屋から出てくるところに遭遇した。兄弟は静かに襖を閉めてから俺に向き直る。
「出陣お疲れ様。主さんなら疲れて寝てるよ。だから、はい」
「手伝い札……」
「傷ついた人に渡してって頼まれたんだ」
渡された手伝い札は、主が直接手入してくれるのではなく、手入専門の職人が行う。故に主と話せる機会がなくなってしまった。
俺は札を見ながら俯く。
「……すまない」
「あと、もう一つ。近侍は暫く僕が担当することになったよ」
その言葉に兄弟を見ずにはいられなかった。
手入を受けながら、ぶれすれっとのことをぼんやりと考えた。どこを探しても見つからないとすると、誰かが持っていったと考えるのが妥当だ。しかし、長い付き合いの連中を疑いたくはなかった。
嗚呼、主はなんと言うだろうか。
しょうがないと笑って許してくれるのか。
いや……絶対怒るのだろう。
当たり前だ。
主が俺のために選び、作って、渡してくれたもの。それなのに、無くすとは……!
いろいろ考えているうちに、手入は終わっていた。
行く宛もなく本丸内を歩いた。
見つかること願いながら俺はまた、ぶれすれっとを探してみることにした。
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華骸(プロフ) - 小豆☆抹茶さん» コメントありがとうございます! 分かってくれますか、まんばちゃんの可愛さを! 同士ですね(о´∀`о) これからもたくさんまんばちゃんを愛でていきましょう!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
小豆☆抹茶 - まんばちゃんの愛らしさ…凄く分かります!私も、初期刀まんばちゃんです!まんばちゃんです!!!!!! (2017年3月21日 18時) (レス) id: 62f8b9fffc (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 亜乃歌さん» コメントありがとうございます! やはりまんばちゃんですよね! みな、違った可愛さが有りますが、まんばちゃんは放っておけないタイプだと私は思います(笑) 読んでくださりありがとうございました!(ノ´∀`*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 沖田凛和さん» コメントありがとうございます! これは私の妄想の小説になりますが、実際にこんな感じだと可愛いですよね! と言うか、まんばちゃんの全部が可愛いですよね(*≧∀≦*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
亜乃歌(プロフ) - めっちゃ面白かったです!ちなみに私も初期刀まんばです(´▽`*) (2017年1月25日 21時) (レス) id: a5d27731cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華骸 | 作成日時:2016年9月24日 21時