十六日目 ページ17
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大阪城の捜索中に見つけた一振の短刀。それを持ち帰り主に顕現してもらったところ……
「包丁藤四郎だぞ! 好きなものはお菓子と人妻。よろしくなー!」
や ば い や つ が 来 た 。
粟田口は基本(主いわく)天使の集まりだ。癖のあるやつはいても、大抵いけめんか可愛いで許される。
しかしコイツはどうだ。
何だ、人妻って。ふざけているのか。
「主さんは人妻?」
「えっ? い、いや……人妻じゃないけど……」
当たり前だ。人妻だったら俺が許さない。
「ふーん。残念だなぁ。あ、ねぇ! それならお菓子ちょうだい」
「お菓子? えーと、戸棚に飴とお煎餅があったような……食べる?」
「うん! 食べる食べる!」
「お茶入れるからまんばちゃんも食べよう」
「ああ」
そんな感じで三人で菓子を囲んでいたら、不意に新入りがこんなことを言い出した。
「主さんって、あったかそう……」
「ブッ! ゴホッ、ゴホッ!」
「ちょ、まんばちゃん大丈夫!?」
「汚いなぁ」
コイツっ! 誰のせいだと思ってるんだ!
主に背中をさすられ徐々に落ち着いてくるが、噎せた後だから喉がひりひりと痛んだ。若干涙目である。
「ねー、主さん。抱きついてもいい?」
「はぁ!?」
「いいよ」
「な、何でそこで主も承諾する!」
「え? いつもまんばちゃんにもやってるし、それに短刀なんだからやましい気持ちなんてないでしょ」
主は純粋に思っているだろうが、後ろをみてくれ。
そいつは短刀らしからぬ笑顔を浮かべているんだぞ?
「えへへ! わぁ! あったかい! 俺、人妻が好きだけど主さんの方が好きになっちゃった」
────パリン
持っていた湯呑みが割れた。
コイツは今……なんと……?
「ま、まんばちゃん、怪我してない?」
「あぁ……大丈……」
待てよ。
ここで俺が大丈夫だと言ってしまえばそこで会話が終わる。それは新入りが主を独占する事態を意味する。
何とかして主の関心を俺に向けたい。
「いや、湯呑みの破片が掌に刺さって痛いんだ。それに茶も溢してしまった。主、手入してくれないか?」
「あ、うん」
「えー……」
「ごめんね、包丁くん。またあとでお菓子食べようね」
「……待ってる」
この時俺は勝ったと思った。主は確実に俺の方が大切に思っているのだと。
しかし、勝負はこれだけでは終わらなかった。
新入りは残された部屋で膨れっ面でこちらを睨んでいたのだ。
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華骸(プロフ) - 小豆☆抹茶さん» コメントありがとうございます! 分かってくれますか、まんばちゃんの可愛さを! 同士ですね(о´∀`о) これからもたくさんまんばちゃんを愛でていきましょう!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
小豆☆抹茶 - まんばちゃんの愛らしさ…凄く分かります!私も、初期刀まんばちゃんです!まんばちゃんです!!!!!! (2017年3月21日 18時) (レス) id: 62f8b9fffc (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 亜乃歌さん» コメントありがとうございます! やはりまんばちゃんですよね! みな、違った可愛さが有りますが、まんばちゃんは放っておけないタイプだと私は思います(笑) 読んでくださりありがとうございました!(ノ´∀`*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 沖田凛和さん» コメントありがとうございます! これは私の妄想の小説になりますが、実際にこんな感じだと可愛いですよね! と言うか、まんばちゃんの全部が可愛いですよね(*≧∀≦*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
亜乃歌(プロフ) - めっちゃ面白かったです!ちなみに私も初期刀まんばです(´▽`*) (2017年1月25日 21時) (レス) id: a5d27731cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華骸 | 作成日時:2016年9月24日 21時