第二十二話 思い出す ページ24
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慌てて外に駆け出す。
そこには……
「おお、加州。すまんな」
ずっと捜していた三日月の姿。
Aは眠っていたが、何かを察知したのだろうか。突然泣き出した。
「おぉ、おぉ……。よしよし」
「うぇ……」
「Aも安堵の涙って感じ? 三日月に抱かれてたのが嫌だったのかな。ほら、緊張の糸が緩んだ的な?」
「な、何だと!?」
「さすがに天下五剣だよ? Aも威圧を察知してたりして」
俺達の物言いにショックを受けたのか。ふらふらと縁側に腰を下ろす三日月。
皮肉を言っただけだ。捜し回させた憎しみを込めて。
「でも……赤子というのはいいものだな。心が澄んでいくようで。人に扱われ、血を被ってきた俺達の心身を癒してくれる」
「……そうだね」
「…………」
安定は何にも言わない。大方、“あの人”のことを思い出しているのだろう。
俺達は人を斬ることで満足する。持ち主のために、世の改正のために。振るわれ、血を浴びる。
それでいいんだ。使われることが道具の喜び。
……なのに、どうしてだろう。人の身になって血が巡るようになった。“痛い”と感じるようにもなった。
だから、分かるんだ。
今、すっと全身の血が冷えていく感じを。
三日月の腕の中で小さな欠伸を溢すAがこんなにも愛らしいのに。緩和されないこの恐怖。
“あの人”に使われ、最期まで側にいられなかったことを思い出してしまうのだ。折れてしまった後は、どうせ愛されない。だから、いつか俺が折れてしまったとき、主に捨てられるのが怖いんだ。
……そんなこと、ないけど……
そっと、Aに手を伸ばす。
────────きゅ
「!」
小さな手が俺の指を掴む。人差し指を5本の指でしっかりと握る。しっかりと、その力は強い。
「ははっ。ありがと」
単純だけど、可愛くて癒される。
……分かったよ。もう、変なことは考えないから。
そう心で呟いた言葉は、通じたのか通じてないのか、Aは少し笑った後、眠りについた。
─────────
突然のシリアスごめんなさい。
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華骸(プロフ) - 彼岸さん» ご指摘ありがとうございます! 勉強不足でした、すみません……。これから書き直してきたいと思います! 期待に応えられるような作品に近づけられるよう頑張ります(o゜◇゜)ゝ (2016年5月15日 15時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸 - 三日月ほとんどあなやしか言ってないじゃないですか。もう少し頑張ってください (2016年5月15日 1時) (レス) id: 1299317818 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸 - あなやの使い方間違ってるよ (2016年5月15日 1時) (レス) id: 1299317818 (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - kotoさん» 返信おくれてすみません! 喉は大丈夫ですか? リクエストして貰えたのが嬉しくて直ぐ様書きました(笑)喜んでいただけたなら幸いです(о´∀`о) (2016年5月9日 19時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
koto(プロフ) - 夜中(※丑三つ刻)に布団の中で続き読んでたら声にならない声で叫んでました。(ひぃ、喉痛い。)リクエストにこんなに早く対応して頂けるとは……ありがとうございます!(*´∀`*) (2016年5月9日 2時) (レス) id: cd7f3fd207 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華骸 | 作成日時:2016年4月6日 20時