第二十話 放浪癖 ページ22
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それからはもうじじぃに任せた。
多分何を言っても聞かないだろうから、それならもういっそのこと、とミルクやおむつ替え以外は抱っこし続けてもらうことにしたのだ。
縁側でAを抱きながら日向ぼっこする三日月。さすが天下五剣の一人。絵になっているから腹が立つ。
俺は安定と部屋からじじぃの様子を見守っていた。安定はお茶を飲みながら、俺は爪紅を塗り直しながら。
「本当、離さないね」
「孫的な感じなんじゃない?」
赤く染め終えた爪にフゥと息を吹き掛けながら、安定の言葉に返す。もうずっとあんな調子で進展がない。
ようするに暇なのだ。
うちの三日月には放浪癖がある。
本丸内でもふらっといなくなる。その度に皆総出で探さなければならないから大変で。
前に農具などが仕舞ってある部屋から出てきたときなんて、泥だらけだし、じじぃは疲労してるし、色々怖かったことを覚えている。
今日はAもいる。だから余計に目を離すのは危険という事で俺達が目を光らせることになった。
……と。
「安定くん。人手が足りなくて……洗濯物取り込むの手伝ってくれないかい?」
歌仙が部屋を訪れた。
確かに今は出陣やら遠征やらで人手は少ないだろう。いる刀剣たちは家事が苦手だったりやる気がなかったり、歌仙が頼りにきたのも分かる。
「了解。清光、三日月をよろしく」
「おっけ」
そして安定と歌仙が部屋を出ていく。
一気に静かになった部屋。俺はじじぃの後ろ姿を見つめていた。
それから数分後……
「加州よ。鶯丸に茶を淹れるように頼んでくれないか?」
「え? 雑用」
「頼む」
「はぁ……分かったよ」
俺はこの時そばを離れるんじゃなかったと後悔した。
鶯丸を連れ部屋に戻ったとき、縁側には三日月がいなかったのだから─────
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華骸(プロフ) - 彼岸さん» ご指摘ありがとうございます! 勉強不足でした、すみません……。これから書き直してきたいと思います! 期待に応えられるような作品に近づけられるよう頑張ります(o゜◇゜)ゝ (2016年5月15日 15時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸 - 三日月ほとんどあなやしか言ってないじゃないですか。もう少し頑張ってください (2016年5月15日 1時) (レス) id: 1299317818 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸 - あなやの使い方間違ってるよ (2016年5月15日 1時) (レス) id: 1299317818 (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - kotoさん» 返信おくれてすみません! 喉は大丈夫ですか? リクエストして貰えたのが嬉しくて直ぐ様書きました(笑)喜んでいただけたなら幸いです(о´∀`о) (2016年5月9日 19時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
koto(プロフ) - 夜中(※丑三つ刻)に布団の中で続き読んでたら声にならない声で叫んでました。(ひぃ、喉痛い。)リクエストにこんなに早く対応して頂けるとは……ありがとうございます!(*´∀`*) (2016年5月9日 2時) (レス) id: cd7f3fd207 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華骸 | 作成日時:2016年4月6日 20時