すっぴん。 ym&in

ぽつぽつ。 ページ2

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帰り際になっても、降り止まない雨は俺を戸惑わせた。

勿論、今朝見たテレビの可愛い天気予報士さんは晴れだと言っていたから、傘なんか持ってきてないし、折りたたみ傘も当然持っていなかった。

いくら、ここで雨宿りしていたって降り止みそうにないことを悟った俺は、意を決して昇降口から一歩踏み出した。

気持ちだけでも傘の代わりになるようにと、鞄を頭に被せて、家まで走って帰る。

少し学校から遠い俺の家。家に着いた頃には、すっかりびしょ濡れになっていた。

ただいま、と言ってドアを開ける。
玄関にはタオルが用意されていた。

風呂も、夕飯も食べ終わり、自分の部屋でスマホをいじっていると、ふと井ノ原先生のことを思い出した。

_____明日から、代わりの先生が来るから宜しく


「....代わりの先生、か...」

女の先生だろうか、それとも男？

明るい先生だったら、いいな...

色々な疑問と期待が俺を埋め尽くした。

そんなことを考えていたら、俺はいつのまにか寝てしまっていた。


。


また、いつものように学校へ向かい知念達と挨拶を交わしクラスに入る。

だが、クラスの雰囲気はいつもとは少し違った。

女子は、「かっこいい先生かな...？」などと期待を膨らませているし、

男子も、「可愛い先生だったらいいな！！」とこちらも期待を膨らませていた。

このクラスも、そういう話題で盛り上がるのかと少し驚きつつも俺も男子の群れに混ざり、その会話の輪に入った。

皆の高揚感も少し落ち着いたところで席についた。数分後、ホームルームのチャイムが鳴った。


“ガラガラ”


クラスの皆が、ドアに釘付けだった。

クラスに入ってきたのは、

目までかかっている長い前髪、黒縁の眼鏡、自信がなさそうに歩く姿。


明らかに皆の期待していたものとは違う、
俺が求めていた理想像とは180°違う、
先生がそこにはいた。


「....おはようございます。井ノ原先生の代わりとして、これから1-A組、理科を担当します伊野尾慧と言います。宜しくお願いします。」

特に何も変わったこともない、いわゆる典型的なパターンの自己紹介を終えた後、出席を取ったり一日の流れを話していた。

ホームルーム後、伊野尾先生がクラスから居なくなった途端、皆「思っていたのと違かった」「声が小さい」などと、思い思いの意見を友達と言い合っていた。

確かに俺が苦手なタイプの先生だ。
第一印象が全てではないと思い直したが、これからの不安感は拭いようがなかった。

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