vol.2 ページ3
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「───Aーッ」
「くるし・・・っ、」
4限目が終わるや否や、神楽が私に抱きついてきた。
なにせこの子はクラス一番の怪力娘。
私ごとき簡単にひねり潰されてしまう。
「あっ、ごめんヨ。
ついやってしまったアル」
「いや、大丈夫だけど・・・。
で、どうしたの?」
「昼ご飯買いに購買いこーヨ!
焼きそばパン売り切れてしまうアル!」
いいよ、と言いかけてひとつ疑問が浮かぶ。
「・・・あんた今日お弁当持ってきてなかったっけ」
「昼までに食った」
「・・・そう、」
この細い体のどこにあんな量の食べ物が入るというのか。
私の倍以上の量のパンを抱えて歩く神楽。
傍から見ると完全にパシリに使われた子だ。
思わず手を差し伸べそうになるけど、この子の場合は自己責任というか。全部神楽が食べるんだし。
なんて思っていると、飲み物を買い忘れたことに気付いた。
「・・・あ、飲み物買い忘れた。
ごめん神楽、先戻ってて」
「了解ネ!」
来た道を戻り、自販機が数台並ぶ階段下へ降りていく。
・・・今日は珍しく誰もいない。
お茶か水でいいや、と小銭を入れてボタンを押そうとしたとき。
──── ピッ ガコン!
後ろからゴツゴツした大きな手が伸びてきて、いちごミルクのボタンを押した。
その手の主は平然と自販機から缶を取り出し、私の目の前にそれを持ってくる。
「・・・ごっそーさん」
「いや先生ちょっと待って」
私なにも言ってない。
生気のこもっていない目を見上げて抗議。
当の本人は平然とプルタブを開けていちごミルクを飲んでいる。・・・マジかこいつ。
「んー、なに」
「なに、じゃなくて。生徒のお金で飲むいちごミルクは美味しいですか?」
「格別」
だろうな!!と心の中で思いきりツッコむ。
「いーだろ別にいちごミルクの一本や二本。最近の高校生金持ってんだからよ」
「私をその括りに入れないで。
おかげで残金60円です」
「・・・え、貧乏」
「誰のせいでだ!」
教室に戻ればあるけどわざわざ戻るのも癪だし。
「でもよー、俺も今財布持ってねーし。・・・あ、」
「・・・?」
何か思いついたらしい先生の顔を見上げた。
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ぴえん - えーっ良いところなのに更新停止なんて! (2020年9月29日 19時) (レス) id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
もこす - もしや作者様レドベル知ってますか? (2019年10月12日 12時) (レス) id: fb5dff43fb (このIDを非表示/違反報告)
夕焼け(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます! (2018年7月18日 19時) (レス) id: 41489a1304 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぐり | 作成日時:2018年7月5日 21時