vol.17 ページ18
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────コンコン
「失礼します・・・、ってアレ?」
もはや銀八先生の私物と化したそこに、肝心の主はいなくて。
ひび割れた革張りのソファ、吸殻のつもった灰皿、・・・いやらしい本。
( 待ってた方が良いのかな・・・ )
“団地妻ミエコのイケナイ秘密” と、デカデカと書かれたその下に、申し訳程度に現国の教科書が挟まっていた。
いまさらだけど、なんでこんな人好きになったんだろう私。
いないならいないで、今のうちにプリントだけ置いて帰ってしまおう。
そう思って、国語準備室から一歩足を踏み出せば。
「わぷっ、」
勢いよく、誰かにぶつかった。
「わりィ、って桜城か。
どったの、なんか用か?」
「・・プリント、昨日のやつ・・・。
出してなかったから・・・」
結構な勢いで鼻をぶつけて、涙目になりながら先生に用件を伝える。
心の準備もへったくれもないままだったから、思わずタメ口だ。
「ごめん、そんなに強くぶつかったか?俺」
「いや、あの・・・」
いつまでも鼻を押さえている私を不思議に思ったのか、銀八先生が覗き込んでくる。
鼻の痛みはもう収まっている。・・・そうではなくて、赤く染まっているだろう顔を隠しているわけであって。
「もしかして鼻血か!?」
「や、あの・・・」
ばっ、と腕を掴まれて、赤いであろう顔が露わになる。
「・・・ッ、」
(恥ずかしいんですけど・・・!!)
思わず顔を逸らしたけれど、恥ずかしいのには変わりない。
「・・・あの、先生。手・・・」
「ッあ、わり!」
勢いよく離された手。
顔も、掴まれた箇所も熱い。
「・・・送ってくから、ちょっと待ってろ」
「いや、自分で帰ります!」
「ダメだ。お前この前襲われかけたんだろ」
「なんでそれ、!」
「俺お前の担任ね。知らねェわけねェだろ」
そこ座って待ってろ、とソファに促される。
私が提出したプリントの採点をしてる先生の背中をぼけっと見つめていると、眠気がふわりと襲ってきて。
意識が沈んでいった。
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ぴえん - えーっ良いところなのに更新停止なんて! (2020年9月29日 19時) (レス) id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
もこす - もしや作者様レドベル知ってますか? (2019年10月12日 12時) (レス) id: fb5dff43fb (このIDを非表示/違反報告)
夕焼け(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます! (2018年7月18日 19時) (レス) id: 41489a1304 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぐり | 作成日時:2018年7月5日 21時