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vol.15 ページ16

side : teacher






「───ふぅ〜、」





屋上から、ぼけっとグラウンドを見下ろす。


一年女子が体育の授業をやっていて、キャピキャピと眩しい。



いいねぇJKは、なんて思いながら見ていると後ろのドアが開く音が聞こえた。





「高杉か。お前そろそろ教室来いよ」


「うるせェ」





いつもは最大限俺と距離を取りたがるくせに今日は、隣に並んできやがった。

ポケットから煙草を出して口に咥え、火をつけようとしたところでとりあげた。





「担任の目の前で高校生が煙草吸おうとするなんざいい度胸じゃねェか」


「・・・チッ」


「チッじゃねェよ。見逃してもらえるとでも思ったかコラ。
そもそもガキにゃまだ早ェんだよこんなもん」





くしゃりと、手で握り潰す。

その熱にあの時のことを思い出してチクリ、胸が痛んだ。





(───まさか惚れられてるたァ・・・)





俺だって端からなんとも思ってなかったわけじゃない。
可愛いなぁくらいには思ってたけど。





(・・・今になって気付くなんざ、)





もうどうしようもねぇ。

なんて苦笑を浮かべていると。





「そうやってアイツのこと突き放したのか」


「・・・、あ?」


「しらばっくてンじゃねェよ」


「何、お前アイツに惚れてんの」


「あぁ、惚れてらァ」


「めずらしく素直なんだな、高杉くんよォ」


「テメェもだろォが」





(───見透かされちまってるたァ、)





そろそろやべェんじゃねェの、俺。





「・・・あァ、惚れてんのかもな」


「そんなモン関係ねェがな。
教師だ生徒だ理由つけてアイツから逃げンなら俺に取られても文句言うなよ」


「・・・お前は俺を応援したいの。どっちなの」


「応援?誰がするか」





そりゃそうだ。

俺だって内心、高杉に対して “振られちまえ” と思ってる。

それだけ吐き捨てて屋上を出たそいつに「授業出ろよ」と伝えるも、当然のごとくシカトである。





「・・・はァ、俺もそろそろ本気出すかねェ・・・」





すっかり短くなった煙草を揉み消し、そう呟いた。



.

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ぴえん - えーっ良いところなのに更新停止なんて! (2020年9月29日 19時) (レス) id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
もこす - もしや作者様レドベル知ってますか? (2019年10月12日 12時) (レス) id: fb5dff43fb (このIDを非表示/違反報告)
夕焼け(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます! (2018年7月18日 19時) (レス) id: 41489a1304 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あぐり | 作成日時:2018年7月5日 21時

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