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vol.1 ページ2

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「───はーいお前ら席つけー」





今日も響く、担任のやる気ない声。


ボサボサの銀髪、ずり落ちた眼鏡、ヨレヨレの白衣。挙句の果てに咥え煙草まで。

よくこんなのが教師やれてるよね、なんて思いながら窓際一番後ろの席の私は頬杖をついてグラウンドを眺める。





「今日の日直誰だっけ?」


「Aアル」


「そーかー。んじゃ桜城、号令頼まァ」





ゆるーく交わされるその会話も聞きなれたもので、特に違和感を感じることもなく号令をかける。
ゴリラが床に伏せ、オバQもどきの着ぐるみがいるのにも違和感を感じなくなったのは、いつ頃からだろうか。
もしかしたら端からそんなものなかったのかもしれないが。





「なんで神楽は1時間目から弁当食ってんの」

「お腹空いたからに決まってるアル」

「当然みたいに言わないでねそれ普通じゃないからね。
あとヅラァ、お前もいつまでんまい棒サクサクやってんだ」

「ヅラじゃありません桂です」

「うるせェ実写版の岡◯将生思いっきりヅラだろーが。アレにそのセリフはキツいだろ。だってアレカツラだもん」

「先生なんの話してるんですか」





猛獣どもの集まり。
いわゆるサファリパークである。

・・・いや、サファリなんて可愛いものではない。
さしずめジュラシックパークだここは。


隙あらばクラスメイトの命を付け狙う奴もいれば、ドMのストーカー女もいるし。
瞳孔かっ開きマヨネーズ野郎に、人間をかけた眼鏡まで。


人間が飛び交うなど日常茶飯事。
その光景を見慣れてしまっている自分も、このクラスに汚染されきっているのだろう。





(───でもこれが、3zだもんね)





クラス全体を見渡せるこの席。

今のところきちんと自分の席に座って教卓の方を向いているのは私と山崎くんだけだ。
・・・山崎くんは、なにやら呪文のようにアンパンアンパン呟いているけれど。



個性(クセ)の塊であるこのクラスが、私は好きだ。






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ぴえん - えーっ良いところなのに更新停止なんて! (2020年9月29日 19時) (レス) id: 33d74645c1 (このIDを非表示/違反報告)
もこす - もしや作者様レドベル知ってますか? (2019年10月12日 12時) (レス) id: fb5dff43fb (このIDを非表示/違反報告)
夕焼け(プロフ) - 頑張ってください!更新楽しみにしてます! (2018年7月18日 19時) (レス) id: 41489a1304 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あぐり | 作成日時:2018年7月5日 21時

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