10年後雲雀さんには敵いません。 (ページ10)

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変わらない関係10～過去編～ページ10

自分に会えるかもと言われた雲雀は、疑問をもった。
「なんで僕に会おうと思ったの。」

『………。』

答えられるわけがなかった。バレンタインの日、意を決して想いを伝えようとしたもののあえなく玉砕。
自分が傷つくのが怖くて逃げ回っていたけれど、最後に一目会って話したいというわがままな気持ちだなんて。

「君、ずっと僕のこと避けてたよね。」

黙っている香桃葉を見かねて、雲雀が口を開く。

『…避けようと思ってたわけではなかったんです。』

「ふぅん。一年近く君と話していない気がするんだけど。」

『…すみません。』

改めて話してみると、やっぱり怖い。香桃葉はそう感じた。

「まぁ、別にかまわないけどね。僕は君たちと馴れ合う気は無いから。」

(君たちというのは、ツナくん達も入ってるんだろうな。)

「でも」

そういうと雲雀は少し香桃葉に近づき、彼女の目をしっかり捕らえた。

「あのチョコレートは校外で渡すべきだったね」

『え？』

あまりの事態に驚きを隠せない様子の香桃葉に雲雀は言葉を重ねる。

「バレンタインの。校内に必要のないものを持ってきてたでしょ。没収ということで受け取ることはできるけど、君がそうして欲しくなさそうだったから。」

『……。』

香桃葉は自分の愚かさや雲雀に対する偏見に恥ずかしくなった。

『雲雀さんは…。』

「ん？」

『私のチョコ、受け取ってくれたんですか？』

おそるおそる聞く香桃葉。対照的に雲雀は顔色一つ変えず言い放つ。

「校外ならね。」

その言葉に香桃葉が嬉しくならないわけがなかった。

『じゃあ、今度お菓子作るので、受け取ってもらえませんか？校外でお渡しするので。』

「ふっ。いいよ。校外で僕に会えたらだけど。」

『いや、あの…』

「なに、まだなんか用？」

勇気をだして香桃葉は言った。

『連絡先、教えてください…。嫌じゃなかったら…。』

「別にかまわないよ。はい、これ。」

『あ、ありがとうございます。』

そういってアドレスの書かれた紙を渡した雲雀は去っていった。

『…卒業、おめでとうございます。』

満面の笑みで、彼女は卒業を迎えたのだった。