10年後雲雀さんには敵いません。 (ページ7)

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変わらない関係7～過去編～ページ7

「…(雲雀さんは…)」
彼女の言葉が気にはなりつつも、雲雀はその後も巡視を続けた。

それから一年後の中学二年生の文化祭、多くのカップルが校内で色めき立っている中、香桃葉は美術部部長として周りを取り仕切っていた。

一年前の文化祭のことを思い出しつつも、行事や身だしなみチェック(通称：風紀チェック)くらいでしか会わない雲雀のことを好きになることはないだろうと思い、仕事を進めていた。

すると、

「やぁ。美術部部長って、君だったんだ。」

あの雲雀恭弥が香桃葉に話しかけた。

『…はい。どうかされましたか？』

なぜ話しかけられたのか不思議に思い、聞く。

「校内を見てまわっていてね。そんな中、知った名前が名簿にあったから確認しに来たんだよ。」

雲雀に名前を覚えてもらうことなど奇跡に近い。
そう思いながら、香桃葉は答えた。

『そうですか。よかったらせっかくですし、みんなの絵を観ていただけるとありがたいです。』

「そうだね、そうするよ。」

お互いなにも話さないが、やけに気持ちのいい時間だな、と香桃葉は思った。

「君の絵は、これかい？」

そう言って雲雀が指差したものは、香桃葉の描いた油絵だった。

『そうです。二年生の作品はそこに飾られていますよ。』

自分の作品を観られることに緊張しつつも、しっかりと答える香桃葉。

「そう。君の絵は、君の想いがとっても伝わるね。」

『…ありがとうございます。』

まさかあの雲雀さんに褒められる日がくるなんて。

そう思いながら、二人は少しだけ同じ時間を過ごした。

これを機会に、二人は会うたびに挨拶をし、数分だけ話す関係になった。