10年後雲雀さんには敵いません。 (ページ32)

今日:55 hit、昨日:5 hit、合計:31,718 hit

きもち7 ページ32

ドンッ！！

大きな音が聞こえた。

橘は香桃葉を触る手を止めると、音の方へと体を向けた。

「まだ30分も経ってないぞ…まさか…。」

カツ…カツ…

建物の入り口から微かに見える影が、少しずつ近づいてくる。

カツ…カツ…

黒いスーツに身を包み、黒髪の青年がゆっくりとこちらへ向かってくる。

「…あなたが私の仲間を殺した雲雀恭弥か。」

橘が尋ねる。

「…仲間？誰のことを言っているのかよくわからないな。」

『…雲雀さん。』

香桃葉は、人物が雲雀だと分かると涙目になった。

「香桃葉、遅くなってごめんね。怖かっただろう。」

雲雀は香桃葉に優しく問うた。

『…いえ、大丈夫です。お手数おかけしてすみません。』

「こんな時まで謝るなんて…はぁまったく。君って人は。」

雲雀は一つため息をつくと、橘に視線を移した。

「で、君は僕にどんな恨みがあるのか知らないけど、僕に喧嘩を売ろうなんて勇気があるね。」

「…うるさい。私の仲間はお前に殺された！それは変わらない！だからこの恨みは、私がはらすんだ！」

そういうと橘は、薙刀を構えた。

「へぇ…君も僕に咬み殺されることになるのに？」

そう言って雲雀もトンファーをかまえる。

「この女の前でも、同じことができるかな？」

そう言われて、雲雀は香桃葉を見た。

「この女は信じてるぞ、お前が人殺しじゃないとな。さぁ、それは本当かな？」

雲雀の顔色は一つも変わらなかった。