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拾弍話 ページ36

その後、私は日夜問わず必死に呼吸の修行をした。
寝ず、休まず、ただひたすら己の刀と向き合った。
私の刀は何のためにあるのか、どうして私は鬼を斬るのか。
勿論、血鬼術も今まで以上に扱えるように努力した。
なんでも使わないとあの男には、鬼舞辻無惨には勝てない。
鎹鴉を通じて、御館様に自身の刀を作りたいと打診すると、すぐに許可の返事が帰ってきて、一週間も経たないうちに、ひょっとこお面の刀鍛冶さんがやって来た。
…早くない?

「おめェさんか、雪の呼吸の使い手って奴ァ」
『…そうです、あの、』
「俺ァ刀鍛冶の鉄崎(てつざき)っつうもんだ、そんで、(くだん)のモノなんだが、」
『あ、いや、地面に置かないで中で…』

目の前で広げられる風呂敷。
慌てて止めようとするが、無視というか、刀の説明でコチラの声が聞こえてない様だ。

「注文通り、刀の長さは二尺二寸で、かなり厚さもある……どうかしたかァ?」
『いえ、続けて下さい』

諦めた目をして眺めているのに気が付いたのか、鉄崎さんがこちらを見る。

「…それから、先代の雪柱様に向けて作った(つば)を使用してる」
『えっ』
「おめェ、先代の娘なんだろ?目元がそっくりだぜ」

そう言われながら、刀を差し出される。
私が刀を受け取ると、鉄崎さんが風呂敷を畳みながら続ける。

「知っての通り、日輪刀は使い手で色が変わる色変わりの刀だァ、先代は真っ白に染ったが、おめェはどうなんだろうなぁ?一寸(ちょっと)抜いてみてくれやしねぇか?」
『あ、はい』

言われるがままに真っ白に塗られた鞘から刀を抜くと、刀身は白く染って行く。
そしてその中に青い小さな玉が幾つも浮かんで来た。

「…雪だなァ」
『…ですね』

確か、鎬の色の濃さや柄が入る事で、その人の適正な呼吸かが分かる…んだったよな。
…これ、かなり適正高いよね、善逸と似たような印象だし…。

「なるほどなァ、こりゃァ見事だ」
『あの…ありがとうございました』
「なぁに、先代には俺も世話になったからなァ、これくれぇどうって事ねェ」
『…父とお知り合いですか』
「……俺が刀を作り始めた時の、まぁ一番最初の隊士ってだけだァ。その頃は先代もまだ鬼殺隊に入ったばかりだったが…お前の親父さんは、良い奴だったよ」

それだけ言って、鉄崎さんはヒラヒラっと手を振って帰ってしまった。

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うさぎもち - この小説めっちゃ面白いです。更新、楽しみにしてます!!! (8月6日 15時) (レス) id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです!これからも更新頑張ってください!(≧∇≦) (2019年11月29日 18時) (レス) id: f2a5c7d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
あとら - めっちゃ好きです。一気に読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2019年10月24日 22時) (レス) id: f15d6ec153 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年10月24日 19時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鏡花@狐さん | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年10月9日 12時

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