9話 牡丹 ページ31
鏡花ちゃんの衝撃的な一言から一時間後、私は電車に揺られていた。
左側には乱歩さん、右側には敦くんが座っている。
あのマフィアの殺人に見せ掛けた事件かと思いきや、全くの別件らしい。
敦くんが「これで僕がついて行くの三件目なんですけどね、一向に覚えてくれないんです」と言っていたので確実だ。
勿論、覚えてくれないのは電車の乗り方だ。
それでなぜ推理力がこんなにもあるのかは甚だ疑問だが。
兎も角、何故か私と敦くんは乱歩さんに連れられて事件現場へと向かっている真っ最中なのだ。
鏡花ちゃんの方は国木田さんと賢治くんに連れられて行ったが、大丈夫だろうか……?
乱「それにしても、随分遠いなぁ、敦くん、あと何駅?」
敦「えぇと、あと二駅です」
乱「暇だなぁ……あ、そうだ、えっと君、」
『櫻葉です、櫻葉 A』
乱「櫻葉くん、今から向かう現場の事件、解いてもらうからね」
『……はい?』
何を言っとるんだこのお人は。
隣で敦くんも「えっ」という顔をしている。
だよねそうなるよね、謎解きなんて出来るわけないじゃん?!
私この前まで一般ピーポゥだったんだけど?!
さすがに謎解くのなんて無理よ?!
『あの、江戸川さん、』
乱「乱歩でいいよ」
『乱歩さん、流石に、それはちょっと難しいのでは……?』
乱「大丈夫、大丈夫!もし君が外しても僕が解いてあげるからさ!」
何が大丈夫何だろうか、間違えて大恥かくだけでは?
私の不安を他所に、電車は目的の駅へと着いてしまった。
敦くんが現場まで地図を見ながら案内してくれる。
現場は高級住宅街にある、ある一件の御屋敷だった。
パトカーが何台か止まっており、その近くには人集りが出来ている。
私達三人はその間を抜けて、現場へと通してもらう。
敦「それにしても、凄い豪邸ですね……」
敦くんが目の前の御屋敷、最早豪邸とも呼べる立派な家を見上げながらそう言う。
乱歩さんはと言うと、あちこちに立つ警察官に軽く声を掛けながらひょいひょいと家の中に入って行った。
『ま、待って下さい乱歩さん!』
慌ててその後を追いながら、敦くんと二人で豪邸の中に入って行く。
絢爛豪華なエントランス、廊下ですら、あちらこちらに目を奪われるほど派手な装飾がされており、とても手が込んでいる。
現場となった部屋に入ると、私はそっと静かに目を背けた。
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暁郗 - マフィン……仕様ですよね?? (2021年1月5日 11時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - めっちゃ好みです〜!続き楽しみにしてます! (2020年10月10日 14時) (レス) id: b284cf17d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 好きです〜〜〜!!応援しています!!頑張ってください! (2019年9月19日 11時) (レス) id: a6030a90d7 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - 面白いです!好きです!どうか続き更新のご慈悲を…!! (2019年8月5日 1時) (レス) id: e0e3857385 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - おもしろい!!!!応援しています!!!! (2019年7月25日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鏡花@狐さん | 作者ホームページ:
作成日時:2019年6月8日 20時