橋から落ちて目が覚めたら、世界一危険な街に来てしまった件について【文スト】

5話 ページ17

？「にしても変な鴉だな……視線は此奴だとは分かるんだが……」

現在目の前のオレンジ頭こと、中原中也さんのお部屋にお邪魔(強制的に)してます。
足に紐をくくりつけられて、飛んでも異能で軽く抑えられて、え、何この完全なるペット扱い。

中「……」
『……』

じっと見つめられるので、適度に離れた距離からじっと見つめ返す。
誰か来て、もう僕(やつがれ)さんでも首領さん……いや、森さんは駄目だ、一発で見抜いてきそうだもんあの人。
もう誰でもいいから早く解放してくれこの地獄絵図。

？「……失礼しま……す、」

コンコンと扉が叩かれ、顔を覗かせた女性は、幹部と鴉がじっと睨み合っているのを目撃し、表情を歪めた。

さすがひぐっちゃん、いい所にきたぁ！！

樋「…あの、何をなさってるんですか……？」
中「変な視線がここに来るまでずっと感じてな、」
樋「……鴉に付けられてたってことですか？」
中「あぁ、異能者かもしれないんだが……」
『カァー！！！』
中「……正直、微妙な所だなと。もし異能者だったら鴉に化けられるんだから、潜入に役立つだろうし、」

おやめ下さい中也さん。
鴉以外にも変化出来るけどマフィンに入るつもりは無いですからね！！！

樋「はぁ……あ、これ、次の仕事の資料です」

樋口ちゃん真面目さんだなぁ……可愛い。()
と言うかそろそろ逃げ出したいと言うか、抜け出したいんだけど、鴉から別のに変化したら大変な事になるからなぁ……。
盗聴器仕掛けられても困るし。
仕方ない、ごめんね中也さん

『カァー！！！』
中「おわっ！」

羽ばたいて一気に中也さんの頭をクチバシでつつく。

中「あでででっ！何しやがる！！」
『ガァー！！！』

しかし反抗も虚しく直ぐに異能で軽く抑えつけられて地面に落とされる。

樋「普通の鴉に見えますけど……」
『ガァー！！！！！』
樋「凄く怒ってる見たいですし……」
中「……はぁ、仕方ねぇ」

フッと体が軽くなり異能力が解かれた。
足にくくりつけられていた紐が解かれ、自由が戻って来る。

『カァー！！！』

即座に羽ばたいて、部屋を旋回してから窓から逃げ出す。
窓にぶち当たるなんてアニメ見たいな真似はしません。()

『……鏡花ちゃんには会えんかったか……』

私の潜入能力が乏し過ぎる。
素人とはいえ、変化してこれか。
……いや、まだチャンスはある。



＿必ず、止めてみせる。

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