◎渡辺くんはいつも不機嫌

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そしてやってきた文化祭当日。




友達「A本当にうさぎの着ぐるみでいいの？」


『うん、これくらいしか着れるのないし…』


友達「Aならメイドとか似合うと思うのに」


『辞めてよ、恥ずかしい』




友達とそんな会話をしていたら、後ろの方から黄色い歓声のようなものが聞こえた。



『何事！？』と言う友達に首を傾げて後ろを振り返ると。そこにいたのは、警官姿の渡辺くんとドクターの姿の阿部くん。




友達「…あの2人か…」


『凄いね、人集りできてるよ』


友達「最後だから皆写真撮りたいんでしょ？Aはいいの？」


『え、私は別に…』


友達「そう？これは良い値で売れそう〜」


『結局お金の事ばっかりじゃん』




私もそろそろ頭つけなきゃなぁ、とぼんやりと考えて。今はうさぎの頭を取っている姿で、側から見たら子供の夢を壊しているよう状態だ。暑いんだよね、これ被ると。



そう思いながらも意を決してうさぎの頭を被る。着ぐるみ重たいし歩き辛い。視界も狭いからフラフラしてしまう。




生徒「うさぎいるー」


生徒「本当だ(笑)中誰だ？」




結局これもこれで恥ずかしいな……。控えめに周りに手を振っていると、視界いっぱいに渡辺くんの顔が。ビックリして思わず固まっていると、『弓木さんだよね？』と。



コクコクと頷いてみると、渡辺くんは独特な声で笑い出した。




渡「中、弓木さんだって知ってる上で見ると面白いわ」


阿 「着ぐるみ重たそう、大丈夫？」




声出せないからさっきから頷くだけ。渡辺くんはそれがよっぽどツボなのかゲラゲラと笑っている。自分が動きやすいからって………。って、自分で選んだから何も言えないんだけどね。



そうこうしているうちに、文化祭が始まったらしく校内が賑やかになった。








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