8.器用だったんだね ページ10
視点なし
中也、もとい癒禽は、今現在ワインレッドのドレスに体を包まれていた。
頭の中で中也の声が聞こえる。
「あー!もう!なんで着ちまうんだよ!くっそ!」と言って五月蝿いため、頭の中で『うっさいぞ』と言っていたところだった。
エ「やっぱり似合うわ!ふふっ、中也お人形さんみたい!」
貴『お褒めいただき光栄です。エリス嬢、お髪をアレンジして差し上げましょう』
癒禽はそう言って、エリスを椅子に座らせて、自分はエリスの後ろに立った。
薄く化粧の施された中原中也の顔が、美しく微笑んだ。
中原中也の細く白いが、それでも男っぽい手が、エリスの美しい金髪を梳いた。
エリスの髪を、器用に編み込みハーフアップにして、エリスを鏡の前に立たせた。
貴『どうです?似合ってると思いますけど』
エ「…チュウヤって、こんなに器用だったんだ。ねぇねぇ!お菓子とか作れる?」
エリスは中原中也をキラキラとした目で見た。
中原中也のフリをしている癒禽は、微笑んで、『大抵のものは』と答えた。
すると、エリスは「やった!じゃあ、私が言ったものをいつか作ってちょうだいね」と言って、満足そうに微笑んだ。
貴『構いませんが、明日かも知れませんね』
そう苦笑いを浮かべて言うと、「ええ!そうかもね!」と言って、満面の笑みを癒禽に向けた。
癒禽は『その時は、手加減してくださいね?』と言って、微笑したが、それから少しの間エリスと話し込み、まだいくつかの書類整理があったため、『職務に戻っても?』と聞くと、エリスはニンマリとした笑顔で「ええ!」と言った。
中原中也の容姿の癒禽は、"そのまま"部屋に帰るために扉を開けて部屋を出た。
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作者名:嬬基ヱ | 作成日時:2017年5月28日 19時