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14.守りたい ページ16

癒禽視点


寝室に行くと、鍵がしまっていた。
『おい』と呼ぶと、「なンだよ。お利口さん以外は必要ねぇんだろ?ほっとけよ」と言って、癒禽を突き放した。
声が近いことから、この扉。
この黒い扉のすぐ向こうに中也がいることが伺えた。

貴『アァ、そうだな。お利口さんは最高だ。手もかからねぇし、扱い易い』

中『ッ……やっぱりッそうじゃんか……』

貴『だが、俺はお前みたいな手のかかりそうなヤツの方が好きだ。お利口さんは、扱いやすいが、すぐに人の心を忘れちまう。そんな無情なヤツより、情が深いヤツの方が、心が暖かくて、俺は好きだ。だから、少しひねくれてても、お前みたいに甘え下手なやつだと………』

癒禽はそう言って、扉の銀色のドアレバーに手を触れて、そのまま、自分の演技にほとんど使っていた表情筋を軽やかに動かした。
癒禽は、念力で鍵を開けて、扉を引いた。
すると、扉が開いたことに驚いて、こちらを涙を流しながら振り向いて見詰める、床に座り込んだ中也がいた。
癒禽は、中也に微笑みかけて、その低くて甘ったるい声で、優しく言った。

貴『…守ってやりたくなる』

中「……癒禽ッ…」

中也はその場から立ち上がって、自分よりも幾分か背の高い癒禽に、精一杯に抱き着いた。
癒禽は、まるで子供をあやすように頭を撫でて、抱き締めた。

15.純粋なご褒美→←13.これ以上利口になれない


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作者名:嬬基ヱ | 作成日時:2017年5月28日 19時

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