特級呪術師の桔梗 二【呪術廻戦】

虎杖 誕生日短編 ｢春の君｣ ページ8

誰か一人くらいは無条件に彼が生まれたことを祝ってくれる存在がいるといいな、と思って書きました。

付き合っている設定です。渋谷事変後。本編とは関係ありません。

お誕生日、おめでとう

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ぱちり、と目が覚める

横でピンクの髪が呼吸とともにふわふわと動いている


時計を見れば今は午前零時の少し前


丁度よく起きれた。中々上出来だ


あと少しで隣にいる彼が生まれた日

と、いっても歳をとるのは誕生日になった瞬間なのか生まれた時間を迎えた瞬間なのか

うーん...後者だとしたら折角起きたのに何だか勿体ない気がするので出来れば前者であって欲しい


なんて、悠仁の横顔を見ながら考える

太陽のような性格をしていても、実際結構な寂しがり屋な人

悠仁の祖父が入院している間はずっと一人で暮らしていたらしいけど

「一人で寝んの、ちょっと寂しい」なんて可愛いことを言われたので今はこうして同じベットに入っている


実は少し、神経質な自分

人が隣にいるとどうしても寝られないのだけれど

それでも彼の隣だけはとても心地が良くて


本当に、太陽みたいだ

と、笑みがこぼれる


2003年の3月20日

悠仁が生まれた日の仙台は例年より少し、寒かったらしい


なら、きっと彼が連れてきたんだ

ピンクのふわふわの髪で

春の訪れを告げるように生まれたんだろうな


うん。悠仁らしい


私の太陽、私の春


君がどんな生まれだって、どんな運命を背負っていてもいい

呪いに耐える奇跡の子でも、呪われた子でも

何でもいい


その隣に、私はずっと居るから



改めて時計を見ると2つの針は丁度上を向いていた


少し起き上がって隣で眠る悠仁の顔を見つめる

閉じ合わされた瞼と、顔の中心には傷跡


祝福を込めて悠仁の眉間に、傷跡に口を寄せる

いや、祝福なんてそんな綺麗なもんじゃないかもしれない


それでもいいかな

君のこれからに何があっても、私だけはずっと繰り返すよ

例え君自身が嫌だと言っても祝わせて




今はまだ、眠っていて


月並みだけれど、朝になったらもう一度言うよ


精一杯の愛をこめて

「生まれてきてくれて、ありがとう」

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