十四話 ページ15
「おはよう…どうした?」
『…何が?』
次の日、セラフと別れた後彼奴の言葉に色々悩まされて眠れず結局一時間という少ない睡眠時間しか取れなかった。迎えに来てくれたアキラには目の下のクマが凄いとまで言われ、メイクをしても隠せない程睡眠を取れてなかった事を知らされる。
『ちょっと寝れなくてさ』
「そうなんだ、てかお前さ昨日連絡しろって言ったのにしてこなかったろ」
『アキラは私の睡眠より連絡の方が大事って言いたいのか』
「睡眠とかより、貴方が家に帰ってない方が不安になるから連絡の方が大事かな。」
『え、何それ…好きじゃん』
「いや、嫌いです。」
なんて茶番を朝からする程元気があるなら睡眠不足なんて敵では無い。だが今日はアキラと夜にまた仕事がある。我ながら仕事熱心だなと思うが、アキラには色々と迷惑かけてばかりいると最近になって感じた。睡眠不足で途中で倒れる程やわでは無いが、もしもの事を考えて今日は一時間保健室で仮眠でも取ろうか。
『んん…にしても、今日体育祭のメンバー決めらしい』
「私出なくていいかな」
『どうせ選ばれんじゃないの?中学の時なんて顔推薦させられてたじゃん』
「あれは酷いよ、ホントに」
中学の黒歴史を掘り返して煽ってみる。その反応が面白くて好きだ。アキラと居ると兎に角気を遣わず楽しい為苦痛などは感じない。けれど彼が私と居て苦痛を感じていないとなるとまた別の話。
話の流れで中学時代の話をしているとアキラから予想外の質問が飛んできた。
「そういえば昨日昼休みに話してた事なんだけど、セラ夫と幼馴染なんだって思って」
『え、あー…まぁそうだね』
「それで引っかかったんだけど、中学って彼奴居たっけ?」
あ…
今思えばセラフは私と小中一緒だと話していたっけ。私もその話に乗っかり上手い事話を合わせていたが、セラフは中学には居なかった。一つ痛い穴を突かれたみたいに冷や汗が止まらない。アキラになんと言って誤魔化そう、そう思っていた時に「あ、凪ちゃんはっけーん」と背後からセラフの声が聞こえる。
その助け舟に思わず安堵し私はアキラの手を引いて『セラフさんおはよう』とセラフの元へと向かった。アキラはやれやれと言わんばかりの表情で「引っ張らなくても私にも声は聞こえてますから」と笑った。
「おはよう、2人とも」
「昨日もたまたま会ったけど、この時間帯に家出るって決めてるんですか?」
「んー?いやバラバラかなぁ、特に決めてない」
「じゃあ本当に奇遇じゃん」
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作者名:ゆき | 作成日時:2024年4月13日 17時