三本目 ページ5
「じゃ、悪いけど俺仕事だから」
「あぁうん!ありがとううらたさん!」
動画撮影が終わった直後、うらたさんは席を立ち荷物をまとめ始めた。私はその傍ら、ビデオカメラにしっかりと録画されているかを確認した。うん、ちゃんと撮れてるな。
うらたさんは鞄を背負うと、急ぎリビングを出ていこうとしたが、ふと踵を返し、こちらに戻ってきた。うらたさんは私の目の前で止まると、スマホの画面を突き付けてきた。
「LINE、交換しません?」
『へ』
スマホの画面には、QRコードが表示されていた。私が呆然としていると、うらたさんはスマホを持っていない手を差し出して、私にスマホを出すように催促した。
「どうせまふの所で働くんでしょ?カメラ得意みたいだし、ライブの時とか呼びたいから。今のうちに連絡先交換しときましょ?」
『あ……はい』
私はスマホを出すと、うらたさんのQRコードを読み取った。私が追加された画面を見て、うらたさんは満足そうに頷くと、じゃあ俺急ぐんで、とその場を去っていった。
私も改めてスマホを確認する。「浦田渉」というアカウント名でアイコンが可愛らしい猫ちゃんの写真だった。
さっきは少し怖いイメージあったけど、案外優しい人なのかな?
「俺らはどーする?」
「ゲームでもする?」
「その前に、神谷さんに色々説明しないと」
神谷さんこっち来てもらってもいいですか!と言われたので、カメラを床に置く訳にもいかないので元の場所に取り付け、相川さんの所へと向かった。
相川さんは、私にテーブルの周りに座るように手で促す。何となく緊張した私は、正座でその場に座った。
あっつー、とおもむろにマスクを取った坂田さん。マスクの下に隠れていた素顔は、正真正銘のイケメンさんだった。かっこいいというよりは、かわいい感じの。
「それでですね神谷さん……ん?」
話を始めようとした相川さんは、突如話を止めて私の顔を覗き込んだ。
「なんか、目が腫れてないですか?」
『え、あぁやっぱりですか……』
「ちょっと待ってください。今冷やす物を……」
パタパタとリビングを後にする相川さん。社長さんってあんなに動くのね。私のイメージだと、椅子に座って踏ん反り返ってるイメージしかなかった。
相川さんが持ってきてくれた保冷剤は、ヒンヤリしていて、私の目の熱を冷ましてくれた。
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なろ(プロフ) - 凄く面白いです...!!これからも頑張ってください!まふくんに「ちゃんと惚れさせるんで」なんて言われたら惚れちゃいますね...。 (2019年9月16日 22時) (レス) id: 5dc39c4af4 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 結衣さん» 他の作品も読んでいただきありがとうございます!頑張ります! (2019年9月14日 7時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - とても面白いです!更新楽しみに待ってます!頑張ってください!転校生は天才ギャンブラーからきました。朱里さんの小説どれも大好きです!他の小説も頑張ってください! (2019年9月13日 20時) (レス) id: 212f806213 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - まろまろさん» 5コメいえええええい!おめでとうございます!そしてありがとうございます! (2019年9月13日 19時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
まろまろ - 5コメもらったあぁぁぁ!!あ、ノリですwww面白いです!!昨日から更新待ってましたwww他にも作品を拝見させていただいてます!!頑張ってください!! (2019年9月10日 18時) (レス) id: 91886602f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2019年9月8日 19時