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訓練が終わり、一度寮へと戻り服を着替える。前にまふくんと出掛けたときも思ったけど、私の服装はシンプルと言うか、質素というか……。女っ気がまるでない。
まぁ、これしか無いのだけれど……。
『あ、早くしないとうらたさん来ちゃうな』
懐中時計を見たら、7:45を指していた。約束の時間は8:00、あと15分だ。私はとりあえず財布と懐中時計だけ持ち、どこに行くかも分からない為、たくさん歩けるように動きやすい靴を履いた。
部屋を出て鍵を閉めると、私は集合場所まで急いで向かった。
城の前まで行くと、すでにうらたさんが待っていた。
『お、お待たせいたしました!』
「んーん、全然待ってないし。なんなら集合時間五分前だし」
うらたさんはそう言うと、私を見て、頭の上から足の先までじーっと見つめてきた。何だか恥ずかしくなって、ついつい嫌味が口から出てしまった。
『どうせ服が地味だとか思っているのでは!』
「思ってねーよ、むしろその逆だって。俺、そういう清楚な格好の人好き。一緒にいて落ち着く」
言ってから自分が恥ずかしい事を言ったと気がついたのか、うらたさんは顔を手で隠してそっぽを向いて、今のなし、と声を細くして言ってきた。
それから吹っ切れたように、早く行こ!と私の手をとって歩き始めた。
『そ、そういえば、どこに行くんですか?』
「秘密♪」
前を歩くうらたさんが、少し振り向いて口元に人差し指を当てる。ちょっと歩くよ、と握られている手は、なんだかとても温かかった。
(うおお、Aと手ぇ繋いでるやべぇ!気づかれてないかな、ひ、引かれてないか……?顔赤いのバレねぇようにしないと……)
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四つ葉 - 完結お疲れ様です!後からすみません。楽しく読ませて頂きました!他の作品も頑張って下さい!ヾ(≧∪≦*)ノ〃 (2020年4月20日 3時) (レス) id: e93bba0f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - いえいえ!こちらこそなんかすみません! (2019年8月10日 18時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - すみませんww参考になりましたww (2019年8月9日 21時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - 忘れてたの!?確かに結婚した後みたいな雰囲気ありましたけどw (2019年8月8日 14時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 名無し1450号さん» リクエストありがとうございます!書かせていただきます! (2019年8月7日 18時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2019年6月15日 14時