75話 ページ36
「本当に、本当にありがとうございました!」
『いえ、大丈夫ですよ。おかげで鉱石も取れましたし!』
私は鉱石が入った麻袋を持ち上げて、ニコッと笑ってみせる。
洞窟から出た私と悟さんは、村へと帰ると、村の人たちに謝罪や称賛をたくさん頂いた。
子供達も号泣だったが、何とかなだめて、宿屋のお風呂をいただいた後だ。
私はタオルを頭の上に被せたまま、イスに座り宿屋へ感謝を言いに訪れる人たちに対応していた。
最後の一人を見送り、私は自分の部屋に戻る。
部屋に戻ると、佳代ちゃんはすでに寝ていた。
洞窟から出た後、みんなに鉱石を見せたら、目を丸くさせて驚いていて面白かった。
今日は、何だか一歩前進できたような気がする。騎士団員として、私も成長してるのかな。
そんな事を考えつつ、窓の外を見た。
空には、大きな満月が浮かんでいた。
うらたside
あれから何日経った?
今日は一体何日なんだ?
ダメだ、日にちの感覚がもう無い。
あれから、あいつらが遠征に向かった日から、ずっと部屋にこもりっぱなしなのだ。
俺はぼんやりとした意識のまま、弓矢を握っていた。
「ぼんやりすんな!早く武器を構えろ!」
「っ……!」
叱咤してくる声にも反応できず、俺は膝から崩れ、その場に倒れた。
足に、体に、力が入んねぇ……。
「はぁ、今日はこのくらいにするか」
その声の主が部屋から出ていく音が聞こえた。俺はピクリとも動けず、ただ床に倒れているだけだった。
あぁ、あいつらにこんな姿見られたくねぇな。
そんな願いも虚しく、だんだんと意識が遠のいていく。
俺が最後に目にしたのは、部屋の天井窓から見える真っ暗な夜空に浮かぶ満月だった。
ラッキー歌い手×曲
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闇月 神楽(プロフ) - 神谷朱里さん» ありがとうございます! (2019年9月14日 19時) (レス) id: f014fb0182 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - シリーズ最初はパスワードにさせていただきましたが、4は閲覧できると思いますよ。ご迷惑おかけしてすみません (2019年9月14日 19時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
闇月 神楽(プロフ) - シリーズの最初と4をパスワードにしたんですか? (2019年9月14日 18時) (レス) id: f014fb0182 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - sinさん» ありがとうございます!こう言う事に自分の考えを持っているのが大切だと思っているので。お褒めいただき嬉しいです(^_^) (2019年5月13日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
sin(プロフ) - こういう風に物事の良し悪しみたいなのをしっかりと言えるのがすごいと思いました。小説楽しんで読ませてもらってます。これからも頑張って下さい。 (2019年5月13日 1時) (レス) id: 1b526b8ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2019年3月21日 9時