74話 ページ34
「けど……」
当時の事を思い出して悲しそうに歪んでいた悟さんの顔は、突如真剣なものとなり、私を見つめる。
「あんたは何か、違う気がした。女はみんな同じと決めつけていたが、子供達がいなくなったって聞いて、真っ先に動けたあんたは、信頼できる、嫌いじゃない、そう思った」
嬉しかった。
自分がした何気ない行動が、自分にとって良い方向へ導いてくれたのだ。
なんだか、心がとてもあたたかい。
私は両手を胸の前できゅっと握りしめる。
「今までごめん、強くあたって」
『いいですよ、もう。訳もなく嫌われてなくて逆に良かったです』
そう話していると、少し開けた場所に出た。
天井も高くなったし、なんだか周りの壁がほんのり蒼く輝いている。
その光景はまるで、
『綺麗……星空みたい……』
真っ暗な夜空に、星が散りばめられたようだった。
私はその蒼く光るものに近づいてみた。
その正体は、私達が探し求めていた鉱石、ミスリル。
『さ、悟さん!これ、ミスリル!』
「これ全部……」
レア鉱石がこんなに沢山!
どうやらここは洞窟の一番奥らしく、ほとんどの鉱石が手付かずだったようだ。
悟さんも目を見張っている。
『これ、みんなの分とって帰ろう!』
私は鉱石を指さして言った。
「え、すごい量になるけど」
『がんばって運ぼう!』
私がキメ顔で親指を立てて悟さんに言うと、悟さんは呆れたようにため息をついて、私に親指を立ててOKしてくれた。
私達は人数分の鉱石を取ると、麻袋に詰めて、洞窟を出るために帰路につく。
帰り道は悟さんのおかげで道にも迷わず、私達は洞窟の外に出ることができた。
外はもう夕方になっていた。
悟さんが鉱石を多めに持ってくれたのは、また別のお話……。
ラッキー歌い手×曲
まふまふ×廃墟の国のアリス
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闇月 神楽(プロフ) - 神谷朱里さん» ありがとうございます! (2019年9月14日 19時) (レス) id: f014fb0182 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - シリーズ最初はパスワードにさせていただきましたが、4は閲覧できると思いますよ。ご迷惑おかけしてすみません (2019年9月14日 19時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
闇月 神楽(プロフ) - シリーズの最初と4をパスワードにしたんですか? (2019年9月14日 18時) (レス) id: f014fb0182 (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - sinさん» ありがとうございます!こう言う事に自分の考えを持っているのが大切だと思っているので。お褒めいただき嬉しいです(^_^) (2019年5月13日 6時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
sin(プロフ) - こういう風に物事の良し悪しみたいなのをしっかりと言えるのがすごいと思いました。小説楽しんで読ませてもらってます。これからも頑張って下さい。 (2019年5月13日 1時) (レス) id: 1b526b8ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2019年3月21日 9時