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大勢いるファンの女の子の1人に、気まぐれに声をかけただけなんだろう。
『応援してくれてありがとう。すごく嬉しかったよ』
それでも、
黒魔女になってから初めて。
あなたは『私』を見つけてくれた。
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「ごめんなさい、ごめんなさッ⋯」
「Aちゃん、落ち着いて」
及川さんの手が、テーピングを巻く私のそれに重なる。
ヒュッ、と呼吸が止まる。
「ホントに俺は大丈夫だから。
このくらいなら、たぶん数日で治るよ」
「そ、そんなの⋯」
「うん。わからない。でもきっと、病院で診てもらえば問題ないって言われるよ。
俺たちが体育館にいないことも、そのうち岩ちゃんあたりが気づいて探しに来るでしょ。
だから、大丈夫だよ」
「⋯⋯」
「ていうかAちゃん、テーピング巻きすぎ!
及川さんの足がどんどん太くなっちゃう」
「あ、ご、ごめんなさい」
「⋯『ごめんなさい』はもう無しね」
「ッ⋯⋯」
選手に怪我をさせたうえに、気をつかわせてしまった。
マネージャーなのに、ろくにテーピングもできない。
「ごめんなさいより、もっと違う言葉が聞きたいかなあ、及川さんとしては」
「! ⋯助けてくださって、ありがとうございます」
「うん。どういたしまして。
もう、ほらAちゃん、涙拭いて」
及川さんの指が、私の涙を拭い、手が頬を撫でる。
暖かい手が涙で冷えた頬を撫でるのが心地よく、その手に身を預けてしまいたくなった。
及川さんが私の頬を撫で、
⋯撫でるな!?
「さっっ⋯触らないでください!」
「エッ」
「その手を離してください。
さもなくば、呪いの炎があなたを燃やし尽くすことになるだろう。
ケケケケケ⋯」
「ああ、なんだそういうこと⋯なんなのそれ、なんのキャラ設定?」
「設定じゃない!本当です!!」
この人、私の噂知らないのか!?
⋯いや、部員たちだって事あるごとにヒソヒソしてるんだ、知らないわけがない。
「⋯まあ、設定でも本当でもどっちでも良いけどさ、」
良いわけあるか。
及川さんは最後に私の頭を撫でて、ようやっとその手を離した。
⋯だから撫でるなってば。
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ne*(プロフ) - 大丈夫ですか?無理しないで下さいね。 (2022年9月2日 9時) (レス) id: d0690099e0 (このIDを非表示/違反報告)
すみんみん - 続きがめちゃめちゃ気になります!頑張ってください! (2022年8月12日 17時) (レス) @page27 id: ebcea48cb7 (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん - 大丈夫ですか?体調崩されたのでしょうか。お大事になさってください (2022年8月10日 9時) (レス) id: 83697b1c32 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 僕も続きが気になりますでもこんなにたくさん小説を書いていると疲れるので休みながらでもいいので頑張ってください (2022年8月9日 19時) (レス) @page27 id: 25670c47bc (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 続きが気になりまくりです!更新頑張ってください! (2022年8月9日 12時) (レス) @page27 id: 3764804c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湧緋 | 作成日時:2022年7月24日 0時