一郎が消える話 (ページ7)

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自慢ページ7

1｢間に合った！｣

俺がそう言ってテレビを食い入るように見るのは今に始まったことじゃない。

2｢…また見んの？｣

テレビを見だした俺を二郎は少し不満げに見つめる。

1｢いいじゃん、このじろくんかっこいいんだもん｣

2｢こっちは？！｣

このやり取りももう何回目だろう。

今、俺の目の前にいる人は俺が見てるテレビの中にも映ってる。

お堅いスーツを来て、丁寧に夕方のニュースを話している。

1｢やっぱりじろくんはすごいねぇ｣

2｢なに？いきなり笑｣

1｢だって、あんなに手の付けられない程の不良だったのに今はニュースキャスターって…｣

昔の二郎を知る俺は、こんな今は全く想像していなかった。

2｢そりゃ散々迷惑かけたしね｣

1｢ホントだね笑｣

きっと昔の二郎を知る友達は二郎がテレビに出た時すごい驚いただろう。

高校では2つ名まで付けられた二郎が今や、色んな番組に引っ張りだこ。

知識だけじゃなくて、世の女性…いや、男もか

みんなに人気の二郎。

1｢…｣

2｢？！い、一郎くん？！｣

頬を膨らませながら食べるそのじろくんの頬を優しく包むように触る。

1｢大きくなったなぁ｣

確かめるようにしみじみとじろくんの頬を触ると、動揺したじろくんが急に立ち上がった

2｢ご、ごちそうさま！！｣

美味しかったと、完食した食器を持ってキッチンへと歩いていく。

1｢…おー｣

ｶﾁｬｶﾁｬと食器を洗う音がする。

その音がなんだか心地よくてだんだんと瞼が重くなって、意識が薄れていった。