雨 ページ2
〜ako side〜
「新入生代表挨拶。新入生代表、赤城A」
そう呼ばれたのは女みたいな名前。
まぁ俺も人の事言えた立場じゃないけど。
「赤城さん？速やかにステージ上までお願いします」
しかしそいつはいつまで経っても一向に現れない。
寝てんのか？こんな時に？
なんて思っていると、後ろにある入口の大きな扉が勢いよく開けられた。
生徒が皆後ろを向く。
遠くてよく見えないけど、そこには小柄なシルエットがあった。
「すんません!!目覚まし時計が仕事をサボったんです!!」
高いソプラノの声が耳に入る。
女か？なんで男子校に？
そいつはパタパタと駆け足でステージには上がらずにマイクを持って俺らの前に仁王立ちした。
「えーっと、代表挨拶だよね、赤城Aです！なんで男子校にいるのかというと、元担任の野郎がやらかしやがったからです！わしは悪くないです！頑張って3年間楽しみます！以上！」
本人は満足したようだったけど、俺らは置いてきぼりにぽけーっとしたまんま。
そいつは俺の隣の空いている席に座って前を向いた。
髪はびしょびしょに濡れてて肌に張り付いている。
肌は真っ白で毛穴一つ見当たらない。
下地は…使ってないのか？アイラインも何一つしていないらしい。
ビューラーは？さすがに使ってなきゃこんなに上向きのまつ毛にはならないだろう。
そんな事を考えながら彼女を見ているとぱちっと視線が絡んだ
「(見すぎ)」
口パクで、微かに口角を上げてそう言ったんだ。
いつからバレていたのかなんて分からない。
ただ、いつもよりも身体が熱い。
きっと、雨で湿度が高いせいだ
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作者名：いんく | 作成日時：2020年1月20日 18時
