あんスタ【もう1人の転校生】3 (ページ23)

今日:6 hit、昨日:17 hit、合計:148,062 hit

第102話ページ23

瀬名｢はぁ？俺達が潰す？｣

貴｢まあ…あたしの個人的な意見だから気にしなくていいんだけどさ…｣

過去の記憶を脳裏に焼き付けながら、零れるように言葉を漏らす。

貴｢仲間だって生温いものじゃないのは分かる。でも、手を差し出して、助けてあげても良かったのにと思うの｣

守れなかった、命は、もう戻らないから。

貴｢だから、壊れる前に、勝つ術ではなくせめて、救いの手を差し伸べてあげれば…散る命も、消える夢も、無かったのかもしれないのに｣

瀬名｢あんた………｣

貴｢今回の件。天祥院があたしを恨むのも分かる。でも、あの出来事が、他の人の希望になって、夢を掴む勇気になって、一歩踏み出す風になれば…あたしは、それだけで充分なの｣

その努力が叶うことが無くても、後悔する道さえ歩まなければ…。

きっとそこにあるものは、最高の思い出になるかもしれないから。

貴｢だからさ。もう、そうやって暗い顔して笑うのやめてよ。みんな、みぃんな、素敵な人なのに、勿体ないからさ｣

瀬名｢ッ｣

いつもとは違う笑顔を浮かべた表情が、瀬名の胸を打つ。それは、守沢と天祥院も同じ。

朝光に照るその横顔が、本物のアイドルのようで、胸の鼓動が収まらない。

満足そうに頷いたあたしは、学園の方に先に歩みを進めた。