あんスタ【もう1人の転校生】3 (ページ11)

今日:2 hit、昨日:17 hit、合計:148,058 hit

第90話ページ11

暗闇の廊下を歩いていると、あんずちゃんからメッセージ。

『明星君が遊木君を探しに行きました。間に合わないかもしれないそうです。出れないかも、しれません』

スマホをポケットにしまって走った。暗いひとけのない場所が待機場所だったはず。

走る。あんずちゃんがあたしに気づいて、同じように駆けた。体当たりのようにぶつかってきて、その小さな体を抱き締める。

今にも泣きそうな顔だった。

よしよしと、お目目に溜まった涙を指で拭ってやる。

鳴上｢あら、Aちゃん！｣

朱桜｢Aお姉さま！｣

見覚えのある顔。よ！っと、挨拶した。もう一人の男の子はわからないけど。

あんずちゃんに聞いたら、朔間の弟だという。そうか、あれが、朔間凛月か。

もうすぐパフォーマンスが始まる。時間が、無い。

オマケに、瀬名が遊木のそばにいるだろう。明星に助け出せるかどうか。

あたしの表情を読み取ったあんずちゃんが、不安そうな顔をしている。

腰を屈め、あんずちゃんと目を合わせた。

大丈夫だよ、と笑いかける。

氷鷹の救出には、時間がかかるだろうが、まだ衣更がいる。

きっと、衣更なら、蓮巳が何とかしてくれるだろう。

希望を抱いた瞬間に、光が降り注いだ。

｢転校生！！｣