あんスタ【世界は続いている】4 (ページ6)

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第4話ページ6

華｢じゃあ…｣

いってきます。と、華ちゃんは誰もまだ起きていない部屋に向かって言った。

玄関の戸に手をかける。

羽風｢華ちゃん｣

華｢！｣

羽風｢もう行くんだね｣

ふぁ、と欠伸を零しながら、寝ぼけまなこで近づいてくる羽風薫。華ちゃんは意外そうに目を丸くして、寝ててよかったんだけどなと、視線を反らせた。

羽風｢全国大会、頑張ってね｣

華｢…どーも｣

羽風｢あと、これ｣

羽風薫がポケットから取り出したのは、お守りだった。

羽風｢昨日、Aちゃんに会ってさ。これを華ちゃんに渡してくれって｣

華｢これ…｣

バスケットボールを描いた、手作りのキーホルダーだ。裏には背番号らしき数字と、『守』という漢字が書いてある。

羽風｢Aちゃんが大切な人から貰ったんだって。これは代々、後輩が継いでいくものとするから、華ちゃんにあげるってよ？｣

華ちゃんはそのお守りを握りしめ、口元に持っていく。そして強く唇を噛んだ。

終わらせるって、言っていたくせに。

と、呟く。

羽風｢何か言った？｣

華｢…いいえ｣

嬉しさが増す。

華｢いってきます。薫先輩｣

そう笑った彼女の顔は、いつか見た、昔の私に似ていたと、あとになって聞いた。

そして時間はやってくる。

私はアイドルとして撮影をしており、休憩時間だった。

グリードとの久々の共演。そして朔間先輩とも久しぶりに会った。

たわいない話をしている時だった。

グリードが話しかけてきたのだ。

テレビを見ておいた方がいいわよ？と。

タイミングよくそれは流れた。

《〇〇便が爆発し落下したもようです。燃えたまま海へ落ち、今も救出作業が…》

その便は確か、私の大切な後輩が搭乗していたはずだった。